千葉県野田市 株式会社ICHI様(仮名)

職種 不動産業
従業員 18人
負債総額 約9億円
債権者数 120社
担当弁護士 大澤一郎

不動産の仲介、販売等を行う株式会社です。

金融機関の貸し渋り等が原因で破産を決断しました。

不動産の建て売りも行っている会社のため、顧客に迷惑をかけずに破産をすることを最優先にして手続を開始しました。

会社及び社長が破産を申立しました。管財人にできるだけ顧客に迷惑をかけないで進めて欲しい旨を要請して無事手続が終了しました。

社長は子供の家に一緒に住むこととなり、また、社長は年金を受給できる年齢だったので、社長の生活のめども付きました

事例のポイント

  • 顧客にできるだけ迷惑をかけないため、破産の受任通知を発送する時期や破産の申立時期について具体的な状況を踏まえた判断をしました。
  • 従業員には国の給与の立替払い制度を利用してもらい給与の支払いをすることができました。
  • 社長が高齢だったため,社長は年金を受給するという方法で生活の再建を図ることができました。
  • 会社の車について一部利用したいという意向がありましたので、管財人と協議して車両を管財人から買い取ることにより車を利用し続けることができました。

本解決事例についての質問と回答・解説

Q. 破産をすると年金はなくなりますか。

A. 年金はなくなりません。
ただし、年金が実際に振り込まれた場合、預貯金という扱いになります。預貯金が多額の場合には債権者への配当に回る可能性があります。

Q. 国の給与の立替払い制度とは何ですか。

A. 上限で給与の80%程度まで、国が未払いの給与を支払う制度です。
制度の詳細は、独立行政法人労働者健康安全機構の未払賃金の立替払事業Q&Aをご覧ください。

Q. 破産をしても会社の車を使いたい場合どうすればよいですか。

A. 破産管財人と協議の上、時価で破産管財人から車を買取できれば、車を使い続けることができるときがあります。時価での購入となりますので時価分の現金が必要となります。

本解決事例の用語説明

管財人

破産手続きで財産の管理・処分などを行う人です。中立な弁護士が選ばれます。

受任通知

破産をする予定であること、弁護士が代理したことなどを記載した通知です。
通常は法律事務所より債権者に対して一斉に発送します。

本解決事例に関連する質問と回答・解説

Q. 不動産業の破産の場合に注意するポイントは何ですか。

A.

  • 現在途中になっている建築物件がある場合、手続きが複雑になりがちですので要注意です。
  • 現在所有している在庫の不動産がある場合、全ての不動産の処分が終わらないと破産手続きが終わらないので要注意です。
  • 宅建の保証協会に関する保証金の返金に時間がかかることが多く、手続きが長期化する場合が多いです。他の業種であれば半年前後で終わる事案であっても、不動産仲介業の場合には1年以上かかることもあります。

Q. 破産をすると同業の仕事は難しいですか。

A. 手続きをしている間は宅地建物取引士などの資格制限があるため難しいかもしれません。手続きが終了すれば同業の仕事を行うことも可能です。


  • プライバシー保護のため、所在地・法人名・従業員数・負債総額・債権者数その他事実関係は、事例の趣旨に影響を及ぼさない範囲で変更してあります。