千葉県松戸市 株式会社山口機械様(仮名)

職種 製造業(工場)
従業員 20人
負債総額 約3億円
債権者数 45人
担当弁護士 大澤一郎

特殊な機械の部品を親会社からの委託により製造する株式会社です。

いわゆるリーマンショック後の不況により破産を決断しました。会社及び社長が自己破産申立しました。

社長は同業他社に業務責任者として就職することにより収入を確保しました。

自宅については金融機関の抵当権が付いていたために手放した上で引っ越すこととなりました。

事例のポイント

  • 社長の自宅については、時価相当額で買ってくれる知人がいないかどうか検討したが、結果としては時価が高かったために手放すこととしました。(実際、近くに引っ越すことにより生活への具体的な支障はほとんどありませんでした。)
  • 工場は不動産・在庫・機械等が大量にあることが多いために、同じような仕事を続けていくことは一般には難しいです。そのため、社長の経験・ノウハウをいかして同業他社に社長が就職する方法を選択しました。
  • 元々人望がある社長だったので、取引先・従業員からの大きな苦情は一切でませんでした。

本解決事例についての質問と回答・解説

Q. 破産をすると自宅はなくなりますか。

A. 原則としてなくなります。
ただし、親族に自宅を一括払いで買い取ってもらうなどの方法により、自宅を守れることもあります。

本解決事例の用語説明

抵当権

いわゆる「担保」のことです。不動産などに設定されます。

本解決事例に関連する質問と回答・解説

Q. 製造業の破産のトラブルにはどのようなものがありますか。

A. 次のようなものがあります。

工場の明渡ができない
  • 製造業の場合、工場を借りていることが多いです。
  • 工場の中には、機械・備品・在庫など様々なものが置いてあることが多いです。
  • 破産をするにあたり、賃貸借契約を解約してオーナーに不動産を返す必要があります。通常オーナーからは物品の撤去(明渡)を求められます。
  • 明渡ができない場合、破産手続きを進めることができなくなってしまいます。また、破産手続きを進めることができたとしても、高額の予納金(手数料)を裁判所に支払う必要があることがあります。
次の仕事を見つけられない
  • 製造業の場合、工場・機械・備品・在庫など、営業を行うために必要なものが多々あります。
  • そのため、同じ仕事を破産後にしようとしても、道具がないために行えないということがあります。
買掛金の業者ともめる
  • 製造業の場合、買掛金の債務が残る取引先が多数発生することがあります。
  • そのため、買掛金の業者ともめることがあります。

Q. 破産をして従業員から苦情が出る場合はどのような場合ですか。

A. 給与の未払いが苦情の原因です。給与未払いになってしまう場合には国の立替払い制度の利用をすることを必要に応じて説明しておきましょう。

Q. 破産をした場合、在庫はどうなりますか。

A. 破産管財人が管理・処分をします。高い値段で買い取ってくれる取引先などを知っている場合、積極的に管財人に情報提供をすると手続きがスムーズに進みます。

Q.破産をした場合、什器や機械はどうなりますか。

A. 破産管財人が管理・処分をします。高い値段で買い取ってくれる取引先などを知っている場合、積極的に管財人に情報提供をすると手続きがスムーズに進みます。


  • プライバシー保護のため、所在地・法人名・従業員数・負債総額・債権者数その他事実関係は、事例の趣旨に影響を及ぼさない範囲で変更してあります。