千葉県流山市 株式会社上川様(仮名)

職種 製造業(工場)
従業員 5人
負債総額 約9,000万円
債権者数 10人
担当弁護士 大澤一郎

革製品などの製品を親会社からの委託により製造する株式会社です。親会社の業績不振による取引縮小により破産を決意しました。

連帯保証人に社長の家族がなっていために、会社・社長・社長の親族の3名が破産申立しました。製品製作のために必要な設備はごくわずかで足りたために、親戚が別会社(法人)を設立した上で従前の取引先に依頼をして事業を継続しました。

裁判所にも別会社を設立した旨を伝えて、了承をとり、破産をした会社と別会社の間での金銭の精算を行いました。

事例のポイント

  • 事業をするにあたって必要な什器備品が少ないため、別の法人を作って別法人での事業継続ができないかどうかを検討し、実行しました。
  • 別法人を作る場合には裁判所から問題点を指摘されやすいので、法律上問題がないかどうか事前に弁護士と検討した上で裁判所に事実関係を正しく報告しました。
  • 長期間取引先との継続的な取引があり、信頼関係があったために、破産をした事実を伝えても取引先は取引を継続してくれました。

本解決事例についての質問と回答・解説

Q. 新たな法人を設立して同内容の業種を行う場合の注意点にはどのようなものがありますか。

A. 次のような注意点があります。

財産の移動
  • 破産する会社の財産は全てなくなることが原則です。
  • 法律のルールにのっとって、適正に財産の処分・移動をしましょう。
  • 財産隠しは厳禁です。免責不許可になったり詐欺破産罪になったりします。
誠実な報告
  • 裁判所に対して、行ったことを誠実に報告しましょう。
  • 裁判所に報告せずに別会社を設立して営業を開始すると、基本的にはかなり怪しまれます。
  • 業務を続けるために高価な設備・機械・備品が必要な場合、新法人を設立して業務を続けることは難しいでしょう。

Q. 法人が破産する場合、連帯保証人も破産する必要がありますか。

A. 破産する必要があることが多いです。法人の借入の連帯保証人の場合、金額が高額となりがちです。そのため、支払が難しい事案が多く、連帯保証人も破産する必要があることが多いです。

Q. 連帯保証人になっているかどうかはどうやって調べればよいですか。

A.

  • 契約書が手元にあれば、契約書を見ればわかります。
  • 契約書が手元にない場合、銀行やリース会社などに契約書のコピーをもらえばわかります。
  • 連帯保証人がいるにもかかわらず、連帯保証人がいないと勘違いをしている事案はたまにあります。他方、連帯保証人ではないにもかかわらず、連帯保証人になっていると勘違いをしている事案もあります。契約書などの資料を再度確認することをお勧めします。

本解決事例に関連する質問と回答・解説

Q. 別法人を設立して同内容の仕事をしやすいのはどのような場合ですか。

A. 次のような場合には同内容の仕事をしやすいです。

  • 取引先が協力的である。
  • 仕事を行うにあたって必要な設備・機械・備品に高価なものがない。
  • 破産をしたという事実が業界内に広まっても問題なく業務を継続できる。

Q. 製造業の破産の場合に注意すべきポイントにはどのようなものがありますか。

A. 次のようなポイントがあります。

工場の明渡

製造業の場合、工場を借りていることが多いです。工場を借りている場合、工場の明渡がスムーズに進むかどうかが重要です。

在庫の処分

製造業の場合、在庫が大量にある事例もあります。在庫が大量にある場合、在庫の処分がスムーズに進むかどうかが重要です。


  • プライバシー保護のため、所在地・法人名・従業員数・負債総額・債権者数その他事実関係は、事例の趣旨に影響を及ぼさない範囲で変更してあります。