千葉県松戸市 株式会社一松(仮名)

職種 運送業
従業員 15人
負債総額 2億円
債権者数 70社
担当弁護士 大澤一郎

小口の運送を行う株式会社です。

燃料費の高騰や代金の未払い等により資金繰りが悪化しました。会社及び代表取締役個人について破産を決意しました。

買掛金(他の業者に発注した運送費)が多数あります。

事例のポイント

  • 一般に、個人の買掛金や小さい法人の買掛金がたくさんあると事実上のトラブルとなる可能性が高いです。実際、弁護士名で破産する旨の通知を出したにもかかわらず、取引先から社長宛への連絡はすぐには全て止まりませんでした。(1~2ヶ月後にはほぼ止まりました。)
  • 債権者集会においても、多数の小口の債権者からの意見が出ましたが、数回債権者集会を行うことにより、免責許可の決定が出ました。
  • 他方、金融機関の債務については、弁護士名での受任通知を出した段階で取立がストップし、それ以降、社長への請求はなくなりました。

本解決事例についての質問と回答・解説

Q. 債権者集会での債権者からの質問はどのようなものが多いですか。

A. 次のような質問が多いです。

「お金は戻ってきますか」

通常管財人が回答しますので、社長は回答の必要はありません。

「財産(車・什器備品その他の財産)はどこにいったのですか」

管財人が把握している場合、管財人が回答します。
管財人が把握していない場合、社長がその場で回答する必要があることがあります。

「破産に至った経緯で〇〇の点を説明して下さい」

管財人が把握している場合、管財人が回答します。
管財人が全てを把握していないことも多いため、管財人が回答できない場合には社長が回答します。

本解決事例の用語説明

債権者集会

裁判所で裁判官が進行をする手続きです。「債権者集会」という名前ですが、実際に出席する債権者は少なく、債権者が1人も出席しないこともあります。

受任通知

弁護士が代理をしたこと、破産をする予定であることなどを内容とする債権者への通知です。郵便又はFAXで送付します。

本解決事例に関連する質問と回答・解説

Q. 運送会社の破産で注意する点はありますか。

A. 運送業の場合、リースや所有の車の権利関係を適切に把握してトラブルが発生しないようにする必要があります。また、駐車場の解約・明渡などがスムーズにいかず問題になる事案もあります。

Q. 買掛金と金融機関からの借入金で何か違いはありますか。

A. 法律的な違いはあまりありません。
金融機関は破産の手続きに慣れていますので、受任通知を発送すれば請求・取立をストップします。
他方、取引先などは破産の手続きには慣れていないことがほとんどですので、受任通知を送付しても請求・取立が直ちにストップしないことがあります。
そのような場合、弁護士から追加で電話をしたり、通知書を送付したりすることにより、請求・取立を止めるようにします。

Q. 法人のみ破産して代表者個人は破産しないということはできますか。

A. 不可能ではないですが、現実的には難しいです。
通常、金融機関の借入の連帯保証人に社長がなっていることが多いです。
そのため、社長も同時に破産をする事例が圧倒的に多いです。
なお、例外的に社長には負債が一切ないという事案もありますので、そのような場合には社長は破産をする必要はありません。


  • プライバシー保護のため、所在地・法人名・従業員数・負債総額・債権者数その他事実関係は、事例の趣旨に影響を及ぼさない範囲で変更してあります。