千葉県柏市 株式会社正武様(仮名)
職種 | 製造業 |
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従業員 | 15人 |
負債総額 | 5億円 |
債権者数 | 20社 |
担当弁護士 | 大澤一郎 |
大手業者の下請けとして機械の製造を行う株式会社です。
40年の実績がありますが、元請けが業務を海外に外注する動き等があり資金繰りが悪化し、会社及び社長が自己破産を決意しました。
社長は自宅を所有しています。
事例のポイント
- 社長の自宅については、管財人・金融機関と交渉をして、第三者が買い取って、社長がその物件を借りる方法により解決しました。
- 従業員については、支払うことができない給与分については国の未払い給与の立て替え制度を利用してできるだけ迷惑がかからないようにしました。ただし、従業員に破産の事 実を話すと噂が広まるため、破産する旨の通知を弁護士が発送する直前までは、従業員には破産の事実は伝えませんでした。
- 比較的会社の資産に余裕がある状態での破産申立だったため、取引先・従業員に経済的な迷惑をほとんどかけることがなく破産手続を行うことができました。
本解決事例についての質問と回答・解説
Q. 国による給与の立替払い制度とはどのような制度ですか。
A. 未払の賃金に関する立替払の制度は、破産によって賃金が支払われなかった場合、従業員に対して、「賃金の支払の確保等に関する法律」に基づいて、その未払賃金の一部を政府が事業主に代わって立替払する制度です。
Q. 未払賃金の立替制度でどのくらい従業員には支払いがありますか。
A. 上限は未払い額の80%となります。細かいルールは独立行政法人労働者健康安全機構のWEBサイトのQ&Aをご確認下さい。
Q. 社長が破産をした場合、自宅はどうなりますか。
A. 通常、会社の借入の連帯保証人に社長はなっています。そのため、社長も破産となることが多く、自宅は、裁判所が行う競売手続き、又は、不動産仲介会社を介しての売却によりなくなることが多いです。
ただし、社長が親族に売却、社長が不動産会社に売却などの方法により、結果的に同じ家に住み続けることが可能な場合があります。
Q. 従業員には破産の事実はいつ伝える場合が多いですか。
A. 決まりはありませんが、破産することを金融機関などに伝える直前に伝えることが多いです。従業員に事前に話してしまうと、従業員が外部に情報を漏らしてしまい、お客様、取引先、その他関係者との間で様々な混乱が発生してしまうことがあります。
本解決事例の用語説明
管財人
裁判所の代わりに手続きを進める中立の立場の弁護士です。
本解決事例に関連する質問と回答・解説
Q. 自宅を親戚に売却して親戚から自宅を借りて住み続けられますか。
A. 可能です。ただし、実際の時価に近い金額での売却が必要です。また。銀行(抵当権者)や管財人の許可が必要なこともあります。
Q. 自宅を不動産業者に売却して、不動産業者から自宅を借りて住み続けられますか。
A. 可能です。「リースバック」という方法です。ただし、売買価格が低額、賃貸価格が高額、買い戻しの条件が不明確など色々問題点がありますので注意しましょう。
- ※プライバシー保護のため、所在地・法人名・従業員数・負債総額・債権者数その他事実関係は、事例の趣旨に影響を及ぼさない範囲で変更してあります。