千葉県柏市 株式会社家名田建設様(仮名)

職種 建設業
従業員 20人
負債総額 6億円
債権者数 150社
担当弁護士 大澤一郎

ビルの建設等を請け負う建設業者でした。手持ち資金がショートし、法人及び個人の自己破産申立を致しました。
債権者数が多く、また、会社所有の財産も多かったために、解決までに1年超を要しました。

事例のポイント

  • 会社所有の財産がある場合、破産手続では全ての財産を処分して現金に換えて、債権者に配当する必要があります。そのため、会社所有の財産が多い場合、解決までの時間が長期化することがあります。
  • 債権者数が多く、特に、金融機関以外の債権者が多い場合、債権者集会で色々な意見が出て解決までの時間が長期化することがあります。
  • 最終的には長期化しても結論が出ますが、できるだけ迅速に終了までに至る工夫を当初の段階からすることが必要です。申立までの事前の準備期間がある程度ある場合には、法律上・事実上の問題点を減らす方向で弁護士がアドバイスすることができますので解決スピードを速めることができます。

本解決事例についての質問と回答・解説

Q. 法人の破産手続はどのくらいで終わりますか。

A. 何も財産がない法人の場合、裁判所に申立をしてから3カ月~4カ月程度で終わることが多いです。財産がある法人の場合、財産を債権者に分配する手続きがありますので1年~2年以上かかることもあります。

Q. 会社所有の財産が色々ある場合、破産手続はどのように進みますか。

A. 管財人という裁判所の代わりに財産を管理する弁護士が財産を預貯金にしていきます。不動産を売却したり、車両を売却したり、在庫を売却したりします。また、売掛金を回収したりもします。

そして、財産が預貯金になった後、法律のルールに従って各債権者に配当を行います。

本解決事例の用語解説

債権者集会

裁判所で行われる裁判官が主導する手続きです。
債権者は参加することはできますが、実際に参加する債権者は少ないです。

怒号が飛び交うというような事案もゼロではありませんが、裁判官が司会進行を進めて粛々と進むという事案が多いです。

本解決事例に関連する質問と回答・解説

Q. 金融機関以外の債権者がいる場合といない場合で手続きに違いはありますか。

A. 金融機関は破産手続きに比較的慣れていますので、法律のルール通りスムーズに進むことが多いです。他方、金融機関以外の債権者は手続きに慣れていないことが多く、トラブルが発生する確率が高まります。

Q. 現在やっている工事があるのですがいきなり破産しても大丈夫ですか。

A. 法律上はいきなり破産をすることもできます。
ただし、現在行っている工事がある場合、いきなり工事がストップすると、大混乱になります。個別の事案ごとに適切な対応が必要です。

Q. 建設業の破産で注意すべきことにはどのようなことがありますか。

A. 現在やっている工事をどのようにするかという点が重要です。
現在やっている工事はきちんと完成させた方がトラブルになりにくいです。

Q. 債権者集会ではどのような質問が債権者からありますか。

A. 特に決まりはありません。
「なぜ破産に至ったのか」、「財産を隠しているのではないか」「どの位支払がある見込みなのか」などの質問が多いです。


  • プライバシー保護のため、所在地・法人名・従業員数・負債総額・債権者数その他事実関係は、事例の趣旨に影響を及ぼさない範囲で変更してあります。