千葉県船橋市 株式会社森宮田製作所様(仮名)

職種 製造業
従業員 20人程度
負債総額 約1,200万円
総債権者数 約10社
担当弁護士 前田徹

ご相談までの背景

1. 会社設立

森宮田さん(仮名・50代)は、20年ほど前に1人で製造業の会社を立ち上げ、代表者として経営を続けてきました。

最初は家族だけで経営をしていましたが、その後事業が軌道に乗り、一時期は社員が20名ほどいる会社になりました。

2. 業績悪化

しかし、ここ数年は技術の進化に思うように対応できず、資金繰りの悪化や、人材不足の影響もあり、経営が悪化していました。

そんな中で、森宮田さんは大きな病気をされて、体調が万全ではないこともあり、会社を閉めることを考えるようになりました。

顧問の税理士に相談したところ、その税理士から当事務所の紹介を受けて、森宮田さんは当事務所にご相談にいらっしゃいました。

3. ご相談

森宮田さんは、残っていた数名の従業員名のことを一番心配しておられましたが、会社の破産を選択することに決まりました。

また、森宮田さんは、会社の債務の保証人になっていたことから、森宮田さん個人も破産手続きを行うことになりました。

森宮田さんは、自宅を手放すことになることは覚悟していましたが、いつ引っ越しをすべきか等も悩んでおられました。

弁護士よりコメント

1. 事案の解決

森宮田さんは、数名の従業員には、事情を説明し、再就職先を見つけることで、円満に退社してもらいました。

また、リースしていた機械を返却したり、賃貸していた事務所を明け渡すなど、事前に準備をした上で、裁判所に破産の申立を行いました。

事前の準備がしっかりとできていたこともあり、当事務所にご依頼をいただいてから、約半年後に破産手続は完了しました。

なお、森宮田さんは、それまでの誠実な仕事ぶりが評価されて、取引先の会社に就職することができ、安定した生活を送ることができるようになりました。

2. 弁護士よりコメント

(1)法人破産の準備

個人の破産手続に比べて、法人の破産手続は、債権の額も大きく、関係者も多いことから、手続は複雑で、かつ、やるべき準備が多くあります。

従業員への対応や取引先への影響を考えて、適切に対応する必要があります。

動いている会社を突然終わらせることになると、従業員や取引先への影響も大きくなるため、順を追って会社を終わらせる準備をしていくことが望ましいです。

また、法人破産の手続きについては、裁判所に納める予納金の金額も大きくなることもあり、その準備も必要になります。

予納金の準備ができないと手続きが進められない危険があります。

そのためにも、会社の破産を考えられる場合には、早めに専門家に相談をすることをお勧め致します。

(2)破産後の生活を考える

法人の破産手続を行う場合、原則として、法人代表者個人も破産手続を行うことになります。

そうすると、破産手続により、仕事と場合によっては自宅も失うことになります。

破産手続の準備を進めるに際して、破産後の生活を考えて行動をしていく必要があります。

具体的には、新しい就職先を見つけて生活を安定させること、自宅から賃貸マンション等に引っ越しをすることなど、安心してその後の生活を送れるように準備をしていくことが重要です。

(3)自宅にこだわらないことも時には重要です。

自宅は大事です。ただ、自宅にこだわるあまり、未来の幸せな生活を失ってしまっては意味がありません。債務の状況にもよりますが、自宅にこだわらないことも時には重要です。

本解決事例についての質問と回答・解説

Q. 会社を破産した場合従業員はどうなりますか。

A. 従業員は原則解雇となります。

Q. 会社を破産した場合、従業員の未払給料はどうなりますか。

A. 会社に財産が残っていれば、比較的優先的に未払給料の支払がされます。会社に財産が残っていない場合、一部国が未払賃金を立替してくれる可能性があります。

本解決事例の用語解説

法人破産

株式会社、有限会社などの破産のことです。
「よつば探偵事務所」などのように、個人で名前を付けて行っている事業の破産の場合には法人破産とは言いません。

本解決事例に関連する質問と回答・解説

Q. 社長が連帯保証人になっているかどうかはどうすればわかりますか。

A. 契約書に会社分ではなく個人分として社長が署名・捺印しているかどうかによってわかります。不明の場合には金融機関などに確認をして、契約書コピーなどをもらうとよいでしょう。

  • プライバシー保護のため、所在地・法人名・従業員数・負債総額・債権者数その他事実関係は、事例の趣旨に影響を及ぼさない範囲で変更してあります。