千葉県市原市 猫手金属様(仮名)
職種 | 金属関係 |
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総債権者数 | 15社 |
担当弁護士 | 粟津正博 |
ご相談までの背景
金井匡様(仮名)は、千葉県の市原市に20年以上前に工場を間借りし、金属関係の会社を設立しました。当初は、従業員を何人も雇って、日本全国から注文を受けるなど、順調に経営していました。しかし、ここ数年、需要が衰退し、売り上げの減少に伴い会社の経営が悪化しました。
そこで、社長は会社について破産申し立てをすることを決意し、当事務所に相談にいらっしゃいました。
相談時、会社にはまとまった資産が残されていなかった一方で、工場には機械、工具関係が多く残されており、手元に残された財産で破産の申し立てをできるか否かが大きな問題となりました。
当事務所では、機械、工具関係を売却する道筋を裁判所に説得的に伝え、また申立てができないと工場の貸主(大家)に迷惑をかけ続けることを主張しました。
結果的に裁判所は最低額の費用(予納金)で破産手続きを開始することを認め、その後無事機械、工具の処理、工場の明け渡しをすることができました。
弁護士よりコメント
破産をするためには裁判所に申立時に費用を収めること(予納金)が必要です。
現在の千葉地方裁判所の運用では法人について20万円、個人について10万円が最低額とされることが多いですが、例えば案件の処理にこれ以上の費用がかかることが見込まれる場合には、事案の性質に応じた金額の予納を命じられることになります。
そうすると、裁判所に命じられた金額を予納できないと、会社としては破産の申し立てができないため後にも先にも進めない状況となってしまいます。
今回の件では工場の機械、工具がかなり古いものでした。大型の機械も複数あり、無価値であり撤去に費用がかかるとみなされ、一定額の予納を命じられる可能性がありました。
そこで、破産を申し立てる前に、社長と相談してスポンサーを見つけ、機械、工具を一定の金額で引き取ってもらえることを裁判所に積極的に伝え、何とか裁判所に会社に残された財産の範囲内の予納金で破産手続きを進めることを認めさせることができました。
また、工場の家賃も滞納している状況であり、申し立てに時間がかかるとどんどん貸主(大家)への債務が増えてしまいます。そのため、早急に必要な資料を集め、裁判所に申し立てを行いました。
最終的に、裁判所より管財人が選任され、こちらの提案通り、機械、工具はまとめてスポンサーに買い取ってもらい、早期に工場の明け渡しを実現していただいた案件でした。
本解決事例についての質問と回答・解説
Q. 裁判所の手数料(予納金)が通常より高くなる場合はどのような場合ですか?
A. 会社の規模が大きい場合、借りている建物の明渡が終了していない場合、処分しなければならない無価値な什器・備品が多い場合などがあります。
Q. 法人と社長個人は一緒に破産しなければいけませんか?
A.
- 法人が破産をする場合、社長個人が連帯保証人となっている場合が多いです。そのため、社長個人も一緒に破産しなければならない場合が多いです。
- 社長個人にも負債がある場合、法人と個人を一緒に手続きをしないと裁判所が手続きを進めないことが多いです。
- 社長個人に全く負債がない場合、社長個人は破産をする必要はありません。
本解決事例の用語説明
管財人
裁判所に代わって財産の管理・処分などを行う弁護士です。申立を代理する弁護士とは異なる弁護士が就任します。
- ※プライバシー保護のため、所在地・法人名・従業員数・負債総額・債権者数その他事実関係は、事例の趣旨に影響を及ぼさない範囲で変更してあります。