最終更新日:2023年11月1日
- 裁判所を使って全ての借金をなくせます。
- 一定の財産は持ち続けることができます。
- 家族への影響はありません。
目次
1. 自己破産とは?
自己破産とは、裁判所に申立てをして、借金をゼロにする手続きです。
自己破産すると原則として借金がなくなります。ただし、自己破産すると一定額以上の財産はなくなります。
自己破産には同時廃止手続きと少額管財手続きがあります。同時廃止は簡単な手続きです。
少額管財は少し複雑な手続きです。持っている財産額や借金の理由などにより、どちらの手続きになるか決まります。
2. 自己破産できる条件
では、自己破産ができる条件は何でしょうか?
自己破産をするためには次の2つの条件が必要です。
- ① 支払不能であること
- ② 免責不許可事由がないこと
では、順番に見ていきましょう。
① 支払不能であること
支払不能とは、債務者が支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものについて一般的かつ継続的に弁済することができない客観的状態のことです。
要するに、借金を毎月支払えないという状態です。
たとえば、借金総額300万円で毎月の本来の返済額20万円であるにもかかわらず、月5万円しか返済する余裕がないときは、支払不能といえるでしょう。
また、借金総額50万円で一応仕事をしていて少しは返済できるというときは、支払不能とはいいにくいでしょう。
② 免責不許可事由がないこと
免責不許可事由とは、借金がゼロにならない理由のことです。
たとえば、多額のギャンブルや浪費があるときは、借金がゼロにならないことがあります。
自己破産できる条件のまとめ
自己破産ができるためには①支払不能であることと②免責不許可事由がないことが必要です。自己破産ができるかどうか気になる方は、まずは弁護士への無料相談をしてみましょう。
3. 自己破産のメリットとデメリット
では、自己破産のメリットとデメリットはどのようなものがあるでしょうか?
自己破産には次のようなメリットとデメリットがあります。
自己破産のメリット
- ① 借金がゼロになります。
- ② 請求や督促がなくなります。
- ③ 一定程度の財産は手元に残せます。
- ④ 破産手続終了後に新たに取得した財産はとられません。
- ⑤ 家族が借金を肩代わりすることはありません。
自己破産のデメリット
- ① 持ち家などの大きな財産は失います。
- ② 信用情報機関(ブラックリスト)に最長10年登録されます。
- ③ 破産手続中は公的な資格を使った仕事ができなくなることがあります。
- ④ 官報に掲載されます。
- ⑤ 連帯保証人に請求がいきます。
それでは、メリットとデメリットを順番に見ていきましょう。
自己破産のメリット
① 借金がゼロになります
自己破産をすると借金がゼロになります。新たな人生をスタートできます。
② 請求や督促がなくなります
自己破産をするために弁護士名での受任通知を出すと、請求や督促がなくなります。平穏な生活を取り戻せます。
③ 一定程度の財産は手元に残せます
上限はありますが、預貯金や車などの財産を残せることがあります。
④ 破産手続終了後に新たに取得した財産はとられません
破産手続きを始めるという決定の後に取得した財産は、破産手続きでもとられません。借金の支払いもなくなりますので生活に余裕がでます。
⑤ 家族が借金を肩代わりすることはありません
自己破産をしても家族への影響は原則としてありません。ただし、家族が連帯保証人になっているときは、家族に請求がいってしまいます。
自己破産のデメリット
① 持ち家などの大きな財産は失います
自己破産をすると持ち家などの大きな財産は失います。5~10年間は新たな住宅ローンも組めないことが多いです。
② 信用情報機関(ブラックリスト)に最長10年登録されます
自己破産をするといわゆるブラックリストに登録されます。そのため、5~10年間は借り入れが難しくなります。
③ 破産手続中は公的な資格を使った仕事ができなくなることがあります
破産手続きを始める決定が出てから免責決定が確定するまでの間、公的な資格を使った仕事ができなくなることがあります。
たとえば、警備員、生命保険募集人、宅地建物取引士などです。
④ 官報に掲載されます
自己破産すると、国が発行する雑誌である官報へ掲載されます。住所や氏名などが記載されます。
⑤ 連帯保証人に請求がいきます
自己破産すると、連帯保証人に請求がいきます。連帯保証人が支払うことが難しいときは連帯保証人も債務整理を検討しましょう。
自己破産のメリットを重視した選択がおすすめ
自己破産にはメリットとデメリットの両方があります。
もっとも、借金が減らない今の状況のままでは、人生を明るく前向きにすることは難しいです。自己破産のメリットを重視した選択をおすすめします。
4. 自己破産するとできないこと
では、自己破産するとできないことは何でしょうか?
自己破産すると次のようなことができません。
- ① 新たな借入れが困難となる
- ② 利用中の預金口座が凍結され、一定の期間入出金ができなくなることがある
- ③ 破産手続中は裁判所の許可なく引っ越しや海外渡航ができなくなる
- ④ 破産手続開始から免責許可までの間できない仕事がある
- ⑤ 免責許可決定が確定してから7年間、再び自己破産をすることが困難となる
もっとも、自己破産は借金がゼロになるというメリットが非常に大きいです。
自己破産するとできなくなることを理解しつつも、自己破産という選択肢を前向きに検討しましょう。
5. 自己破産の解決事例
よつば総合法律事務所に依頼し、自己破産で借金問題を解決したお客様の解決事例です。
倉林俊也様(仮名)の解決事例
手続き後の返済額
月々/20万円→ 0円
倉林様は、元々勤めていた会社で比較的高い給与を得ており、その際に住宅ローンを組んで自宅を購入しました。
古林真紘様(仮名)の解決事例
古林様は、生活費等のために借入を繰り返し、債権者10社から合計約300万円もの借金を負っていました。
自分の収入では借金の返済ができず、新たに借り入れをして何とか返済を繰り返していましたが、借金の元金と利息がふくらみ、借金の残高が減らないため、当事務所にご相談されました。
茅島朔様(仮名)の解決事例
10年以上前に、消費者金融から借りていた借金があり、ほとんど返済をすることなく、引っ越しを繰り返していたところ、最近になって消費者金融から督促の連絡がきたということで、当事務所にご相談に来られました。
井沢正信様(仮名)の解決事例
井沢様は、約10年前に破産しており、そのときの破産に至った主な原因がパチンコや競艇などのギャンブルに負け続けたことでした。
そのときはしっかり反省し、井沢様自身もギャンブルをせずにしっかり生活できていました。
6. 自己破産の流れ
① 法律事務所への問い合わせ

サイト下部のチャットで簡単予約、メール、電話のいずれかの方法にてお問合せ下さい。
ご相談の日程調整をさせていただきます。
② ご相談

借入、資産、収入などを弁護士に説明しましょう。
破産以外の方法(任意整理・個人再生)が望ましい場合、破産以外の方法をお勧めすることもあります。
③ 貸金業者への通知の発送

弁護士が代理した旨の通知を法律事務所が貸金業者に発送します。
この時点で取立・請求は止まります。
④ 裁判所への申立

書類を準備して裁判所に申立をします。
⑤ 裁判所への出頭

裁判所への出頭は必要がないこともあります。
裁判所への出頭が複数回必要となることもあります。
⑥ 借金がゼロになり解決

借金をゼロにするという決定(免責決定)が裁判所から出ます。
借金のない生活になります。
7. 借金がゼロにならない場合とは?
自己破産の申立をすると、通常は借金がゼロとなります。もっとも、次のような理由があるときは、借金がゼロにならないことがあります。免責不許可事由といいます。
- ① 債権者を害する目的で財産を減らしたり隠したりすること
- ② 浪費または賭博による著しい財産減少
- ③ 裁判所の調査への説明拒否や虚偽説明
もっとも、免責不許可事由があってもあきらめることはありません。
正直に事情を説明し、今後は同じようなことを繰り返さないということを裁判所にきちんと理解してもらえれば、借金がゼロになることが多いです。
8. 自己破産するとどうなりますか?
自己破産するとどうなるかについてよくある質問をまとめました。ご不明な点は無料相談にて弁護士にお問い合わせ下さい。
- 借金はなくなりますか?
- 借金はなくなります。
解説
自己破産の申立を裁判所に行い、免責決定が出れば、借金はなくなります。
ただし、過度の浪費やギャンブルがあるときなどは免責決定が出ないことがあります。
- 破産をしてもなくならない負債はありますか?
- 税金などがあります。
解説
次のような負債などは破産をしてもなくなりません。
- 税金
- 国民健康保険料
- 国民年金の保険料
- 破産をしても持ち続けられる財産はありますか?
- 1個20万円未満の財産は持ち続けることができる可能性があります。
解説
1個20万円未満の財産は、持ち続けることができる可能性があります。
また、財産を合算して総額99万円までの財産は、裁判所の許可が出れば、持ち続けることができる可能性があります。
家財道具なども持ち続けることができます。
- 持ち家はなくなりますか?
- なくなります。
解説
所有する自宅はなくなります。
住宅ローンの有無にかかわらずなくなります。関連情報 自宅を手放さずに債務整理はできますか? - 所有する車はなくなりますか?
- なくなる場合となくならない場合があります。
解説
車のローンが残っている場合
ローン会社が車の引き上げを行うことが多いため、車はなくなることが多いです。
車のローンが残っていない場合
- 20万円未満の価格の車の場合、持ち続けることが可能なことが多いです。
- 20万円以上99万円以下の車の場合、裁判所の許可が出れば、持ち続けることができる可能性があります。
- 99万円を超える車の場合、何も手を打たないと、なくなる可能性が高いです。
- 生命保険はなくなりますか?
- なくなる場合となくならない場合があります。
解説
- 解約した場合の返戻金が20万円未満の保険の場合、なくならないことが多いです。
- 解約した場合の返戻金が20万円以上99万円以下の保険の場合、裁判所の許可が出れば、なくならない可能性があります。
- 解約した場合の返戻金が99万円を超える保険の場合、何も手を打たないと、なくなる可能性が高いです。
- 退職する予定はありません。退職金はなくなりますか?
- なくなりません。
解説
退職する予定がないときは、退職金自体はなくなりません。ただし、退職金の8分の1を現在所持している財産とみなして計算をすることが多いです。
- 退職金の額が160万円未満の場合、退職金について何も指摘されないことが多いです。
- 退職金の額が160万円以上の場合、一定額を裁判所に支払うことを条件に、退職金について何も指摘されないことが多いです。
- 年金はなくなりますか?
- なくなりません。
解説
- 年金を受け取る権利は破産をしてもなくなりません。
- ただし、年金が銀行口座に入ったときは、預金と同じ扱いになります。銀行口座に入ったお金が20万円以上の場合、持ち続けることができないことがあります。
- 信用情報機関(ブラックリスト)にはどのくらい登録されますか?
- 5年から10年間登録されます。
解説
破産をした事実は信用情報機関(ブラックリスト)に登録されます。登録されている間は新たな借入は難しいでしょう。
関連情報 債務整理すると今後借入はできないですか? - 資格制限などの仕事の制限はありますか?
- 保険外交員や警備員、宅地建物取引士など、破産手続き中は資格制限のため仕事ができないことがあります。
解説
弁護士、弁理士、公認会計士、税理士、司法書士、行政書士、土地家屋調査士、社会保険労務士、生命保険の外交員、警備員、宅地建物取引士などは、破産手続きを始める決定が出てから、免責決定が確定するまでの間、資格制限により仕事を行えないことがあります。
- 官報に掲載されるとはどういうことですか?
- 国が発行する雑誌である官報に、住所や氏名、破産の事実などが掲載されます。
解説
官報とは政府が発行する刊行物です。破産の場合には、官報への掲載が法律上義務付けられています。
関連情報 官報に掲載されるとはどういうことですか? - 裁判所への出頭は何回必要ですか?
- 0回~2回程度が多いです。
解説
特に問題がない事案のときは、書面審査のみで手続きが進むこともあります。 一定程度の財産がある事案、破産の手続きを進めるにあたり何らかの問題がある事案などのときは、複数回裁判所に出頭する必要があることもあります。
(各県の裁判所により運用が異なります。詳細はご自宅の近くの地元の弁護士にご相談下さい。)
- 破産後の生活はどうなりますか?
- お金の借入は一定期間できませんが、特段その他の制限はありません。
解説
- 破産手続き終了後、新たに取得した財産は自由に使うことが可能です。
- 仕事の資格制限は、破産手続きが終了したときはなくなることが多いです。
- お金の借入ができないことを除いては、特段生活に制限はありません。
9. 自己破産を弁護士に相談するメリット
自己破産を弁護士に相談するメリットは次の通りです。
- ① そもそも自己破産をした方がよいかがわかる。
- ② 自己破産した場合にどうなるかがわかる。
- ③ 自己破産のメリットやデメリットがわかる。
- ④ ずっと気になっていたお金の問題が一気に解決できる。
- ⑤ お金に悩まない生活が今後はできる。
最初の一歩を踏み出すには勇気がいりますが、まずは早めに弁護士に一度相談してみましょう。
10. 自己破産を相談する専門家の選び方
では、自己破産を相談する専門家はどのように選べばよいでしょうか?
自己破産を相談する専門家は弁護士と司法書士です。司法書士には取り扱える業務の範囲に制限がありますが、弁護士には制限がありません。
また、自己破産のルールは各県の裁判所により異なります。そのため、ご自宅の近くの地元の弁護士に相談すると、各県の裁判所のルールを踏まえたよい解決ができるでしょう。
11. 弁護士費用
自己破産の弁護士費用は次の通りです。分割払いもできます。
自己破産(同時廃止)
弁護士費用 398,000円(税込437,800円)
実費相当額 35,000円(税込38,500円)
自己破産(少額管財)
弁護士費用 418,000円(税込459,800円)
実費相当額 35,000円(税込38,500円)
詳しい内容は弁護士費用のページをご確認下さい。
12. 自己破産を弁護士に相談する前に準備すること
自己破産を弁護士に相談する前に絶対に準備が必要なことはありません。
ただし、次のようなことが初回相談のときにわかると、適切な方針決定や解決がしやすくなります。
- ① 業者の名前
- ② 各業者の現在の残高
- ③ 各業者への毎月の返済額
- ④ 現在の収入
- ⑤ 現在の支出
- ⑥ 現在の資産
13. まとめ:迷ったらまずは早めに法律事務所にお問い合わせ
早く相談すればするほど解決の選択肢は広がります。早く借金の問題を終わらせることもできます。
まずはお問い合わせページから弁護士への無料相談をお申込み下さい。