最終更新日:2023年11月1日

監修者:弁護士 大澤一郎

  • 借金が5分の1などに減額できます。
  • 自宅を失わずに借金を整理できます。
  • ギャンブルや浪費、株取引の失敗による借金でも利用できます。
  • 資格制限がないため、仕事に影響がありません。
  • 家族への影響はありません。

目次

1. 個人再生とは?

個人再生とは、裁判所に申立をして借金を5分の1などに減額する手続きです。

減額した後の金額を原則3年間で分割払いすれば、借金がなくなります。

個人再生は民事再生と呼ぶこともあります。

個人再生は自宅を守ることができる

個人再生では、住宅ローンは今まで通り支払うことが可能です。

そして、住宅ローン以外の借金を減額できます。自宅を守ることができます。

個人再生は2種類

個人再生には小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類があります。

ほとんどの事案では小規模個人再生を使います。

2. 個人再生できる条件

では、個人再生ができる条件は何でしょうか?

個人再生をするためには、次の2つの条件が必要です。

  • ① 将来において継続的にまたは反復して収入を得る見込みがあること
  • ② 負債の総額が5000万円以下であること

①将来において継続的にまたは反復して収入を得る見込みがあること

将来において継続的にまたは反復して収入を得る見込みがあることとは「一定の収入があり毎月の返済金をある程度用意できること」です。

会社員や自営業者、年金生活者などは条件を満たすことが多いでしょう。

②負債の総額が5000万円以下であること

では、負債の総額が5000万円以下であることとはどのような意味でしょうか?

負債の総額が5000万円以下というのは住宅ローンを除いた負債の合計額が5000万円以下という意味です。

たとえば、住宅ローン残金が4000万円、住宅ローンではない借金が1500万円というときは、個人再生ができます。

一方、住宅ローンではない借金が5500万円というときは個人再生はできません。

個人再生できる条件のまとめ

個人再生ができるためには①将来において継続的にまたは反復して収入を得る見込みがあることと②負債の総額が5000万円以下であることが必要です。

個人再生ができるかどうか気になるときは、まずは債務整理に詳しい弁護士への無料相談をおすすめします。

3. 個人再生のメリットとデメリット

では、個人再生のメリットとデメリットにはどのようなものがあるでしょうか?

個人再生には次のようなメリットとデメリットがあります。

個人再生のメリット

  • ① 借金が5分の1などに減額できます。
  • ② 請求や督促がなくなります。
  • ③ 自宅を失わずに借金を整理できます。
  • ④ ギャンブルや浪費、株取引の失敗による借金でも利用できます。
  • ⑤ 家族が借金を肩代わりすることはありません。

個人再生のデメリット

  • ① 一定金額は借金を支払う必要があります。
  • ② 信用情報機関(ブラックリスト)に最長10年登録されます。
  • ③ 官報に掲載されます。
  • ④ 連帯保証人に請求がいきます。
  • ⑤ 継続的な収入の見込みがないと認められません。

それでは、メリットとデメリットを順番に見ていきましょう。

個人再生のメリット

① 借金が5分の1などに減額できます

個人再生をすると、借金が5分の1などに減額できます。具体的には、借金額に応じて次のように減額できます。

元々の借金額 支払額
100万円以上
~500万円以下
100万円
500万円超
~1,500万円以下
借金総額の
5分の1
1,500万円超
~3,000万円以下
300万円
3,000万円超
~5,000万円未満
借金総額の
10分の1

ただし「支払額」より「お持ちの財産の総額」が多い場合、「お持ちの財産の総額」を支払う必要があります。

また、住宅ローンがある場合、住宅ローンは別途支払う必要があります。

個人再生をすると、無理なく借金を完済できるようになります。

② 請求や督促がなくなります

個人再生をするために弁護士名での受任通知を出すと、請求や督促がなくなります。

平穏な生活を取り戻せます。

③ 自宅を失わずに借金を整理できます

個人再生をすると、自宅を失わずに借金を整理できます。自宅を守るには個人再生がおすすめです。
 

④ ギャンブルや浪費、株取引の失敗による借金でも利用できます

自己破産はギャンブルや浪費、株取引の失敗による借金のときは利用できないことがあります。

しかし、個人再生は借金の原因にかかわらず利用できます。借金の原因に問題があるときは、個人再生がおすすめです。

⑤ 家族が借金を肩代わりすることはありません

個人再生をしても家族への影響は原則としてありません。

ただし、家族が連帯保証人になっているときは、家族に請求がいってしまいます。

個人再生のデメリット

① 一定金額は借金を支払う必要があります

個人再生をしても借金はゼロにはなりません。減額後の借金を原則として3年間で支払う必要があります。 

② 信用情報機関(ブラックリスト)に最長10年登録されます

個人再生をするといわゆるブラックリストに登録されます。そのため、5~10年間は借り入れが難しくなります。

③ 官報に掲載されます

個人再生すると、国が発行する雑誌である官報へ掲載されます。住所や氏名などが記載されます。

④ 連帯保証人に請求がいきます

個人再生すると、連帯保証人に請求がいきます。連帯保証人が支払うことが難しいときは連帯保証人も債務整理を検討しましょう。

⑤ 継続的な収入の見込みがないと認められません

個人再生は継続的な収入の見込みがないと認められません。

そのため、現在無職であり今後も収入の見込みがないようなときは、個人再生の申し立てをしても認められません。

個人再生のメリットを重視した選択がおすすめ

個人再生にはメリットとデメリットがあります。

もっとも、借金が減らない今の状況のままでは、人生を明るく前向きにすることは難しいです。

個人再生のメリットを重視した選択をおすすめします。


4. 個人再生するとできないこと

では、個人再生するとできないとは何でしょうか?

個人再生すると、次のようなことができません。

  1. ① 新たな借入れが困難となる
  2. ② 利用中の預金口座が凍結され、一定の期間入出金ができなくなることがある

もっとも、個人再生は借金が大幅に減るというメリットが非常に大きいです。

個人再生するとできなくなることを理解しつつも、個人再生を前向きに検討しましょう。

5. 個人再生の解決事例

よつば総合法律事務所に依頼し、個人再生で借金問題を解決したお客様の解決事例です。

笠毛正樹様(仮名)の解決事例

  • 50代 男性(会社員)
  • 借入先の数:6社

笠毛様は持ち家の自宅で、妻と子供と暮らしていました。浪費などで借金をつくり、借入額が次第に増えて、住宅ローンを含めて総額約1,500万円の借金を負っていました。借金額が増加したことから、借金の返済ができなくなりました。

鈴木順樹様(仮名)の解決事例

  • 30代 男性(会社員)
  • 借入先の数:10社

自宅を住宅ローンも使って購入しましたが、会社の給与・賞与が減ってしまったため、約束通りの支払ができなくなってしまいました。そのため、クレジットカードや消費者金融での借り入れを増やしてしまうこととなりました。

廣沼好子様(仮名)の解決事例

  • 40代 女性(会社員)
  • 借入先の数:9社

手続き後の返済額

月々/15万円→ 数万円

20代の頃から利用していたカードローンの負債額が大きくなり、返済が苦しくなってきました。

野口湊大様・樹奈様(仮名)の解決事例

  • 30代 男性(会社員)30代 女性(パート)
  • 借入先の数:14社

野口様ご夫婦は、夫には、住宅ローンで3,000万円、住宅ローン以外の借り入れで1,000万円、妻には、300万円の借り入れがあり、住宅ローンを含めた毎月の支払いが難しくなったことから当事務所にご相談にいらっしゃいました。

6. 個人再生の流れ

1. 法律事務所への問い合わせ

下部のチャットで簡単予約、メール、電話のいずれかの方法にてお問い合わせ下さい。
ご相談の日程調整をさせていただきます。

2. ご相談

借入、資産、収入などを弁護士に説明しましょう。
自宅をお持ちの場合、自宅をどうしたいかが重要です。
個人再生以外の方法が望ましい場合、任意整理・自己破産をお勧めすることもあります。

3. 貸金業者への通知の発送

弁護士が代理した旨の通知を法律事務所が貸金業者に発送します。
この時点で取立・請求は止まります。

4. 裁判所への申立

書類を準備して裁判所に申立をします。

5. 裁判所への出頭

裁判所への出頭は不要なことが多いです。

6. 借金を減額する決定で解決

借金を減額する決定(認可決定)が裁判所から出ます。
借金に悩まない生活になります。

7. 個人再生が失敗する場合とは?

個人再生の申し立てをすると、通常は借金が大幅に減ります。

しかし、次のようなときは個人再生が失敗することがあります。

  1. ① 負債総額が5000万円を超えているとき
  2. ② 継続的に安定した収入がないとき
  3. ③ 個人再生後の支払の見込が立たないとき
  4. ④ 自宅に住宅ローン以外の抵当権(担保)を設定しているとき
  5. ⑤ 所有する自宅に差押があるとき

もっとも、個人再生ができないときでも、自己破産任意整理などの債務整理をすれば問題が解決することもあります。

悩んだら、債務整理に詳しい弁護士にまずは相談しましょう。

8. 個人再生するとどうなりますか?

支払総額はどのくらいに減りますか?

借金額や資産額によりますが、大幅に減ります。

解説

個人再生をすると、次の金額まで大幅に減ります。

※以下のコンテンツは左右にスワイプしてご確認ください。

元々の借金額 支払額
100万円以上
~500万円以下
100万円
500万円超
~1,500万円以下
借金総額の
5分の1
1,500万円超
~3,000万円以下
300万円
3,000万円超
~5,000万円未満
借金総額の
10分の1
ただし、「支払額」より「所有財産の総額」が多い場合、「所有財産の総額」を支払う必要があります。

たとえば、所有財産額が200万円、元々の借金額が600万円とします。

200万円>120万円(債務総額600万円の5分の1)となりますので、200万円を支払う必要があります。

なお、住宅ローンがあるときは、上記支払額とは別途住宅ローンを支払う必要があります。

毎月の支払はどのくらいになりますか?

減額後の支払総額について、3年間(36回)の分割払いが原則です。

解説

特別の事情があるときは、最長で5年間(60回)まで延長できることがあります。

なお、住宅ローンがあるときは、別途住宅ローンを支払う必要があります。

個人再生をしても減らない負債はありますか?

税金などがあります。

解説

次のような負債は個人再生をしても減りません。

  • 税金
  • 国民健康保険料
  • 国民年金の保険料
  • 罰金
  • わざと相手に損害を与えた場合の損害賠償義務
  • わざと又は重大な落ち度で相手に怪我をさせた場合の損害賠償義務
  • 養育費
自宅を守れますか?

守れます。

解説

住宅ローンを今までの条件で支払できるときは、問題なく自宅を守れます。

住宅ローンを今までの条件で支払できないときは、銀行などとの協議が必要です。新たな返済期間や返済金額で合意できたときは、自宅を守れます。

無職でも個人再生が認められますか?

今後就職すれば認められることが多いです。

解説

無職のままで個人再生の申立をしたときは、認められないことが多いです。

他方、今は無職でも個人再生申立までに就職したときは、認められることが多いです。

パートやアルバイトでも個人再生が認められますか?

認められることが多いです。

解説

継続的に収入を得る見込みがあれば、個人再生は認められます。

自営業でも個人再生が認められますか?

認められることが多いです。

解説

継続的に収入を得る見込みがあれば、個人再生は認められます。

借金の原因にギャンブルや浪費などの問題があっても認められますか?

認められることが多いです。

解説

個人再生では、借金の原因がギャンブルや浪費などの理由でも認められることが多いです。

他方、破産では、借金の原因がギャンブル・浪費などの理由だと借金がゼロにならないことがあります。

車はなくなりますか?

なくなる場合となくならない場合があります。

解説

車のローンが残っているときは、ローン会社が車の引き揚げを行うことが多いです。車はなくなることが多いです。

他方、車のローンが残っていないときは、車は原則としてなくなりません。

保険はなくなりますか?
原則としてなくなりません。
退職する予定はありません。退職金はなくなりますか?
原則としてなくなりません。
年金はなくなりますか?
なくなりません。
信用情報機関(ブラックリスト)にはどのくらい登録されますか?

5年から10年は登録されます。

解説

個人再生をした事実は信用情報機関(ブラックリスト)に登録されます。

信用情報機関により登録内容は異なりますが、5年から10年は登録されます。

資格制限などの仕事の制限はありますか?

ありません。

解説

個人再生では仕事の制限はありません。破産だと資格制限など一定の仕事の制限があります。

官報に掲載されるとはどういうことですか?

国が発行する雑誌である官報に、住所や名前、個人再生の事実などが掲載されます。

解説

官報を見ている人は少ないです。

官報に掲載されたとしても、借金の問題を根本的に解決する方法をおすすめします。

裁判所への出頭は何回必要ですか?

0回のことが多いです。

解説

特に問題がないときは、書面審査のみで手続きが進むことが多いです。

ただし、各地の裁判所によって運用が異なります。詳しくは地元の弁護士へのご相談をおすすめします。

個人再生後の生活はどうなりますか?

お金の借入は一定期間できませんが、特段その他の制限はありません。

解説

個人再生の手続きを開始する決定が裁判所から出た後は、新たに取得した財産を自由に使えます。

お金の借入が一定期間できないことを除いては、特段生活に制限はありません。

9. 個人再生を弁護士に相談するメリット

個人再生を弁護士に相談するメリットは次の通りです。

  1. ① そもそも個人再生をした方がよいかがわかる。
  2. ② 個人再生をしたときにどうなるかがわかる。
  3. ③ 個人再生のメリットやデメリットがわかる。
  4. ④ 自己破産や任意整理、個人再生など債務整理の方法を比較したうえで、一番良い方法がわかる。
  5. ⑤ ずっと気になっていたお金の問題が一気に解決できる。

最初の一歩を踏み出すには勇気がいりますが、まずは早めに弁護士へ一度相談することをおすすめします。

10. 個人再生を相談する専門家の選び方

では、個人再生を相談する専門家はどのように選べばよいでしょうか?

個人再生を相談する専門家は弁護士司法書士です。司法書士には取り扱える業務の範囲に制限がありますが、弁護士には制限がありません。

また、個人再生のルールは各県の裁判所により異なります。

そのため、ご自宅の近くの地元の弁護士に相談すると、各県の裁判所のルールを踏まえたよい解決ができるでしょう。

11. 弁護士費用

個人再生の弁護士費用は次の通りです。分割払いもできます。

個人再生(住宅資金特別条項なし)

弁護士費用:378,000円(税込415,800円)

実費相当額:30,000円(税込33,000円)

個人再生(住宅資金特別条項あり)

弁護士費用:478,000円(税込525,800円)

実費相当額:30,000円(税込33,000円)


詳しい内容は弁護士費用のページをご確認下さい。

12. 個人再生を弁護士に相談する前に準備すること

個人再生を弁護士に相談する前に絶対に準備が必要なことはありません。

ただし、次のようなことが初回相談のときにわかると、適切な方針決定や解決がしやすくなります。

  1. ① 業者の名前
  2. ② 各業者の現在の残高
  3. ③ 各業者への毎月の返済額
  4. ④ 現在の収入
  5. ⑤ 現在の支出
  6. ⑥ 現在の資産

13. まとめ:迷ったらまずは早めに法律事務所にお問い合わせ

早く相談すればするほど解決の選択肢は広がります。

早く借金の問題を終わらせることもできます。

まずはお問い合わせページから弁護士への無料相談をお申込み下さい。