最終更新日:2023年11月22日

監修者:よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎

  • 毎月の返済額を減らせることが多いです。
  • 裁判所を使わないため手続きが簡単です。
  • 財産を失わずに手続きができます。

目次

1. 任意整理とは?

任意整理とは、弁護士が業者と個別に交渉をして、支払総額や毎月の支払額を決める手続きです。

合意をしたあとは、合意内容に基づいた支払いを行います。

2. 任意整理できる条件

では、任意整理ができる条件は何でしょうか?

任意整理は裁判所を使う手続きではありません。そのため、厳密な条件は決まっていません。

もっとも、業者と合意したあとは、通常は分割払いでの返済をスタートします。そのため、返済するお金が準備できないときは、任意整理は難しいでしょう。

3. 任意整理のメリットとデメリット

では、任意整理のメリットとデメリットにはどのようなものがあるでしょうか?

任意整理には、次のようなメリットとデメリットがあります。

任意整理のメリット

  • 支払総額を減らせる可能性があります。
  • 毎月の支払額を減らせることが多いです。
  • 裁判所が関与しない手続きなので比較的簡単です。
  • 財産を失わずに手続きができます。
  • 任意整理したい業者だけ手続きをすることもできます。

任意整理のデメリット

  • 信用情報機関(ブラックリスト)に登録されます。
  • 借金総額が大幅に減額とはならないことが多いです。
  • 継続的な返済が必要です。
  • 返済が後日困難となることがあります。
  • 合意できないときは、個人再生や自己破産に変更となることがあります。

それでは、メリットとデメリットを順番に見ていきましょう。

任意整理のメリット

① 支払総額を減らせる可能性があります

任意整理は支払総額を減らせる可能性があります。

個別の交渉によりますが、将来の利息をゼロにした合意ができることが多いです。将来の利息がゼロだとすると、通常通り利息を支払うときに比べて支払総額が減ります。

また、取引期間が長く利息制限法違反の取引があるときは、元本が減ります。

② 毎月の支払額を減らせることが多いです

個別の交渉によりますが、毎月の支払額を減らせることが多いです。減らせる具体的な金額も個別の交渉によります。

③ 裁判所が関与しない手続きなので比較的簡単です

任意整理は業者と弁護士が直接交渉をします。裁判所が関与しません。そのため、個人再生や自己破産と比べると手続きが簡単です。

④ 財産を失わずに手続きができます

任意整理は自己破産と異なり、財産を失わずに手続きができます。

⑤ 任意整理したい業者だけ手続きをすることもできます

任意整理はすべての業者を対象にしなくてもできます。特定の業者だけを対象にした任意整理も可能です。

任意整理のデメリット

① 信用情報機関(ブラックリスト)に登録されます

任意整理をすると信用情報期間に登録されます。そのため、5~10年間は借り入れが難しくなります。

② 借金総額が大幅に減額とはならないことが多いです

任意整理は借金総額が大幅な減額とはならないことが多いです。

借金の大幅な減額を目指すときは、自己破産や個人再生がよいでしょう。

③ 継続的な返済が必要です

任意整理は個別に業者と条件を決めなおして返済する手続きです。そのため、継続的な返済が必要です。

④ 返済が後日困難となることがあります。

任意整理は借金総額が大幅な減額とはならないことが多いです。そのため、返済が後日困難となることがあります。

⑤ 合意できないときは、個人再生や自己破産に変更となることがあります

任意整理は業者との個別の交渉です。そのため、業者との合意がまとまらないときがあります。

合意ができないときは、個人再生や自己破産に変更することが必要です。

任意整理のメリットとデメリットを比較した選択がおすすめ

任意整理にはメリットとデメリットがあります。

自己破産や個人再生とも比べた上で、任意整理がよいかどうかを慎重に検討しましょう。

4. 任意整理するとできないこと

では、任意整理するとできないことは何でしょうか?

任意整理をすると、一定期間は新たな借り入れができなくなります。その他は、任意整理をするとできないことは特にありません。


5. 任意整理の解決事例

よつば総合法律事務所に依頼し、任意整理で借金問題を解決したお客様の解決事例です。

郡司純恋様(仮名)の解決事例

  • 相談者:20代 女性(会社員)
  • 借入先の数:3社

手続き後の返済額

月々/7万円→ 3万

季節ごとに洋服やかばんを購入し、旅行等にも散在をしており、気が付くと支出が大きく膨らんでしまっておりました。

荒井咲茉様(仮名)の解決事例

  • 相談者:30代 女性(会社員)
  • 借入先の数:12社

毎月返済しても完済のめどがただず、返済のために他から借り入れをするような自転車操業状態でした。

任意整理により各業者と交渉して月々の返済額を圧縮することができたとしても、返済をしていくことはかなり負担で困難な状況でした。

斉藤実樹雄様(仮名)の解決事例

  • 相談者:40代 男性(会社員)
  • 借入先の数:4社

これまで、貸金業者や信販会社の計5社と取引があり、いずれも15年ほど前から利用していました。

そのうち貸金業者2社については数年前に完済していましたが、残りの信販会社3社は合計150万円ほどの負債が残っていました。

佐田泰庸様(仮名)の解決事例

  • 相談者:70代 男性(無職)
  • 借入先の数:1社

過去に保証人になってしまったことから、約1,000万円もの債務を負ってしまっておりました。

少しずつ返済をされていましたが、債務額が余りに大きかったためどうしようもなくなり相談にいらっしゃいました。

6. 任意整理の流れ

1. 法律事務所への問い合わせ

電話又はメールにてお問合せ下さい。
ご相談の日程調整をさせていただきます。

2. ご相談

借入、資産、収入などを弁護士に説明しましょう。
毎月の支払可能な金額が重要です。
任意整理以外の方法が望ましい場合、個人再生・自己破産をお勧めすることもあります。

3. 貸金業者への通知の発送

弁護士が代理した旨の通知を法律事務所が貸金業者に発送します。
この時点で取立・請求は止まります。

4. 利息制限法に基づく再計算

業者から届いた過去の資料を元に、利息制限法違反の有無を確認します。
利息制限法違反の場合、元本が大幅に減ったり、過払い金が発生したりする可能性があります。

5. 弁護士と業者との交渉

支払総額、毎月の支払額などを交渉します。

6. 合意

合意ができた場合、合意書を作成します。

7. 返済・解決

合意書の内容通りの返済を続けます。
返済が終了すれば借金問題は解決します。

7. 任意整理が失敗する場合とは?

では、任意整理が失敗するのはどのような場合でしょうか?

次のようなときは任意整理が失敗することがあります。

  • ① 業者と合意ができないとき
  • ② 合意した内容での支払いができないとき

① 業者と合意ができないとき

任意整理は業者と個別に交渉をする手続きです。そのため、条件がおりあわずに合意ができないと、任意整理は失敗します。

② 合意した内容での支払いができないとき

任意整理は合意後の支払いが必要です。そのため、合意した内容の支払いができないと、任意整理は失敗します。

任意整理が失敗しそうなときは個人再生や自己破産に変更

任意整理が失敗しそうなときは、自己破産や個人再生への切り替えを検討しましょう。

自己破産であれば、裁判所を使って借金をゼロにできます。個人再生であれば、自宅を失うことなく大幅に借金を減らすことができます。

8. 任意整理するとどうなりますか?

支払総額はどうなりますか?
減ることもあります。

解説

かつて多くの貸金業者は、利息制限法の上限を超える利息を取っていました。

利息制限法違反の利息を何年も払い続けてきたときは、利息を再計算して借金の総額が減ることがあります。

また、再計算の結果、元本がゼロになったあとも返済し続けていることもあります。この場合、過払い金の返還を請求できます。

もっとも、利息制限法違反ではない利息のときは、元本の減額や返還請求はできません。

ただし、任意整理後の利息を発生させない合意ができることが多いです。その結果、完済までに要する返済総額は減ります。

利息制限法の上限金利

※以下のコンテンツは左右にスワイプしてご確認ください。

元金 上限金利
10万円未満 20%
10万円以上~100万円未満 18%
100万円以上 15%
毎月の支払額はどうなりますか?
減ることもあります。

解説

任意整理では今後の利息ゼロの合意ができることが多いです。そのため、毎月の支払額も減ることが多いです。

また、分割払いの回数は数年単位となることが多いです。そのため、毎月の支払額も減ることが多いです。

何回の分割払いが可能ですか?
36回から60回が多いです。

解説

  1. 36回(3年)以内の分割払いの場合
    スムーズに合意できることが多いです。
  2. 36回から60回までの分割払いの場合
    合意ができることが多いです。
  3. 60回を超える分割払いの場合
    特段の事情がないと合意が難しいことが多いです。
いつから返済開始になりますか?
任意整理を依頼してから2~6か月後が多いです。

解説

  1. 任意整理のご依頼から合意成立までは1~4か月が多いです。
  2. 合意が成立してから1~2か月後の支払開始が多いです。
住宅ローンを除いて任意整理はできますか?
可能です。

解説

任意整理の対象となる業者は自由に選べます。

車のローンを除いて任意整理はできますか?
可能です。

解説

任意整理の対象となる業者は自由に選べます。

特定の相手だけ任意整理はできますか?
可能です。

解説

任意整理の対象となる業者は自由に選べます。

ただし、特定の業者だけ任意整理をすれば借金問題全体が解決するか、慎重な検討が必要です。

給料が全て生活費でなくなってしまいます。任意整理はできますか?
難しいでしょう。

解説

任意整理は合意成立後の返済が必要です。

そのため、給料がすべて生活費でなくなるときは、借金問題の解決のためには自己破産をおすすめします。

関連情報

自己破産の解説

無職ですが任意整理はできますか?
条件付きですが可能です。

解説

任意整理は合意成立後の返済が必要です。

そのため、近いうちに就職し、収入をえることができるときは、任意整理が可能です。

任意整理をすると財産はどうなりますか?
原則として失いません。ただし、ローンやクレジットカードで購入した物品を業者が引き上げることがあります。

解説

自己破産のときは、保有している財産は一定の例外を除き失います。

しかし、任意整理のときは、保有している財産を処分する必要はありません。処分して返済にあてる必要ももちろんありません。

ただし、任意整理の対象とした業者のローンやクレジットカードで購入した物品を、業者が引き上げることがあります。たとえば、自動車やパソコン、腕時計などの比較的高価な物品などです。

任意整理をした業者以外のクレジットカードは使い続けることができますか?
使い続けることができるときもあります。もっとも、どこかの段階で使えなくなることが多いです。

解説

任意整理しなかったカード会社のカードは、そのまま使用できることが多いです。

ただし、任意整理をした事実は信用情報機関(ブラックリスト)に登録されます。

そして、カード会社は定期的に利用者の信用情報をチェックしています。

そのため、任意整理をしていないカード会社が登録を確認した時点で、クレジットカードが使用できなくなることが多いです。

任意整理に応じない業者はありますか?
あります。

解説

任意整理は、業者と個別に合意をする手続きです。そのため、必ず合意が成立するわけではありません。

特に、次のようなときは合意が成立しにくいことがあります。

  1. 取引期間が短い
  2. 不動産などを担保に取られている。
  3. 相手業者の経営状況が悪い。
  4. 相手業者が比較的小規模な業者である。
信用情報機関(ブラックリスト)にはどのくらい登録されますか?
5~10年が多いです。

解説

任意整理をした事実は信用情報機関(ブラックリスト)に登録されます。

任意整理をすると保証人はどうなりますか?
残額一括払いの請求を受けることがあります。

解説

支払が遅れたときに保証人がいる場合、債務者本人と保証人のいずれへも残額一括払いの請求を業者はできます。債務者本人が任意整理をしたときも同様です。

そのため、任意整理を債務者本人がスタートしたときは、保証人は業者から一括払いの請求を受けることがあります。

資格制限などの仕事の制限はありますか?
ありません。

解説

自己破産は資格制限や職業制限が問題になります。たとえば、宅地建物取引士、保険募集人、警備員などです。

一方、任意整理は資格制限や職業制限はありません。

官報に掲載されますか?
官報に掲載はされません。

解説

官報とは政府が発行する刊行物です。

自己破産や個人再生の事実は官報に掲載されます。一方、任意整理の事実は官報に掲載されません。

裁判所への出頭は必要ですか?
裁判所への出頭は不要です。

解説

任意整理は裁判所を使わない手続きです。そのため、裁判所への出頭は不要です。

他方、自己破産や個人再生は裁判所を使う手続きです。そのため、裁判所への出頭が必要です。

ただし、事案により裁判所への出頭が不要となることもあります。

合意成立後どのように返済していきますか?
合意書などで決めた内容に基づいて、月に1回振込で返済することが多いです。

解説

合意内容によっては、異なる支払い方法になることもあります。

合意成立後に返済できなくなったときはどうなりますか?
残額を一括で支払う義務などが発生します。

解説

合意内容通りの支払ができない場合、残額を一括で支払う義務が発生します。また、遅延損害金などを支払う義務も発生します。

借金問題を解決するためには、自己破産や個人再生などの債務整理をする必要があります。

任意整理後の生活はどうなりますか?
返済総額と毎月の返済額が減ることが多いです。

解説

将来の利息を発生させない合意が多いため、返済総額が減ります。また、通常は毎月の返済額も減ります。

ただし、新たなクレジットカードの作成や新たな借入が一定期間できなくなります。


9. 任意整理を弁護士に相談するメリット

任意整理を弁護士に相談するメリットは次の通りです。

  1. 任意整理で借金の問題が解決できるかがわかる。
  2. 任意整理をしたときにどうなるかがわかる。
  3. 任意整理のメリットやデメリットがわかる。
  4. 自己破産や任意整理、個人再生など債務整理の方法を比較したうえで、一番良い方法がわかる。
  5. ずっと気になっていたお金の問題が解決できる。
弁護士に相談するには勇気がいります。もっとも、時間がたてばたつほど借金問題は解決が難しくなることが多いです。まずは早めに弁護士への相談をおすすめします。

10. 任意整理の専門家の選び方

では、任意整理を相談する専門家はどのように選べばよいでしょうか?

任意整理を相談する専門家は弁護士と司法書士です。

もっとも、司法書士には取り扱える業務の範囲に制限がありますが、弁護士には制限がありません。

また、任意整理を依頼したり方針を検討したりする場合、直接弁護士に会っての打ち合わせが必要です。

そのため、ご自宅の近くの地元の弁護士に相談すると、一番スムーズな解決ができるでしょう。

11. 弁護士費用

任意整理の弁護士費用は次の通りです。分割払いもできます。

1社につき39,800円(税込43,780円)

※ただし、お一人様当たり40,000円(税込44,000円)の基本費用が別途発生します。

詳しい内容は弁護士費用のページをご確認下さい。

12. 任意整理を弁護士に相談する前に準備すること

任意整理を弁護士に相談する前に、絶対に準備しておくべき事項はありません。

ただし、次のようなことが初回相談のときにわかると、適切な方針決定や解決がしやすくなります。

  • 業者の名前
  • 各業者の現在の残高
  • 各業者への毎月の返済額
  • 現在の収入
  • 現在の支出
  • 現在の資産

13. まとめ:迷ったらまずは早めに法律事務所にお問い合わせ

早く相談すればするほど解決の選択肢は広がります。早く借金の問題を終わらせることもできます。

まずはお問い合わせページから弁護士への無料相談をお申込み下さい。

(監修者:弁護士 大澤一郎

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