最終更新日:2023年5月26日
融資の回収を試みます。
ただし、破産する旨の通知を弁護士が銀行に出した場合、銀行が会社・社長に直接連絡することはなくなります。
目次
【銀行の対応】倒産の可能性がある場合
毎月の支払が遅れたり、銀行からの連絡に返信しなかったりする場合、銀行は倒産の可能性があると考えます。このような場合、銀行は次のような対応をする可能性があります。
- 新規の融資を拒否する。
- 現在の融資の一括返済を求める。
- (条件変更・リスケジュール中の場合)再度の条件変更・リスケジュールを認めない。
- 預金を引き出しさせない。
事業資金が引出できなくなりますので特に要注意です。心配な場合には何らかの対策をしておくことをお勧めします。 - 預金と相殺をして回収する。
預けておいた預金が全額返済に充てられてしまいますので要注意です。心配な場合には何らかの事前対策をお勧めします。 - 担保不動産の競売申立を行う。
- 融資の返済を求める民事裁判を提起する。
- 融資の返済を求めて財産の仮差押を行う。
仮差押がされた場合、いきなり取引先に売掛金が仮差押された旨の通知が届いたりします。 - 連帯保証人に請求する。
- 再三電話をしてくる。
- 再三訪問をしてくる。
【銀行の対応】実際に倒産した場合
倒産とは実際に会社の業務を終了してしまったり、会社に電話をしても誰もでなくなってしまっている状態とします。このような場合、銀行は次のような対応をする可能性があります。
- 預金を引き出しさせない。
- 預金と相殺をして回収する。
- 担保不動産の競売申立を行う。
- 融資の返済を求める民事裁判を提起する。
- 融資の返済を求めて財産の仮差押を行う。
- 連帯保証人に請求する。
- 再三電話をしてくる。
- 再三訪問をしてくる。
【銀行の対応】弁護士が破産する旨の通知を出した場合
- 弁護士に破産の依頼をした場合、弁護士が銀行に破産をする旨の通知(受任通知)を送付します。
- 弁護士名の受任通知が銀行に届いた場合、銀行は会社・社長に直接連絡はしません。銀行は弁護士宛に連絡をします。このような場合、銀行は次のような対応をします。
- 預金を引き出しさせない。
- 預金と相殺をして回収する。
- 担保不動産の競売申立を行う。
- 連帯保証人に請求する。
【銀行の対応】破産手続中の場合
- 弁護士が破産する旨の通知を出した後、裁判所に申立を行って最終的には破産手続終了に至ります。
- 破産手続中の場合、銀行は法律にしたがって粛々と対応を進めます。社長に直接接触を銀行がすることはありません。
銀行との対応の注意点
- 破産を検討している場合、銀行には伝えないことが望ましいです。「破産を検討している」旨を銀行に伝えた場合、銀行は融資の回収を最優先に行動します。
- 「銀行から電話が頻繁にかかってくるがどうすればよいか」という相談は比較的多いです。会社・社長の現在の状況や今後の予定により方針が変わります。例えば、今後も条件変更・リスケジュールを行って返済を続けていく場合、電話に出て1つづつ丁寧に対応した方がよいでしょう。他方、破産申立直前の場合、電話に出てもあまり意味はないかもしれません。
- 破産に至る経緯の中に違法行為・問題行為がある場合、銀行の対応は非常に厳しくなることがあります。例えば、①財産を隠していることが疑われる場合、②財産を不当に減らしたことが疑われる場合、③特定の債権者(親族当)への返済を優先していることが疑われる場合などでは銀行の対応が非常に厳しくなることがあります。
- 社長が自宅を所有している場合、自宅の競売申立等を銀行が行う結果として自宅を失うことが多いです。例外的に自宅を守ることができる場合に当たらないかどうかを検討しましょう。
まとめ
- 倒産を知った銀行は融資の回収を試みます。
- ただし、破産する旨の通知を弁護士が銀行に出した場合、銀行が会社・社長に直接連絡することはなくなります。
(監修者:弁護士 大澤一郎)