最終更新日:2023年5月26日

2回目の破産は可能です。但し、裁判所が1回目の破産のときよりも厳しく審査をすることになります。

目次

破産法では2回目以降の破産は認められています

破産法では、2回目以降の破産手続き自体は認められています。そのため、理論上は2回以上の破産手続きを行って免責許可を得ることもできなくはないと考えられます。

但し、前回の破産手続きから7年以内の破産申立については免責不許可事由となっているほか、2回目以降の破産手続きの審査は厳しくなってきますので、注意が必要です。

なぜ2回目の破産になりうるのか

まず、なぜ1度破産手続きをして債務をすべてなくしてしまったのに2度目の破産に至ってしまうのか少し触れてみましょう。

原因はいくつも考えられますが、1回破産をしたとしても一定期間経過すると再度借入ができるようになってしまうことが原因の一つに挙げられます。

通常1回債務整理の手続をするといわゆるブラックになってしまうので借入をすることが非常に難しくなってしまいます。

しかし、なぜブラックになってしまうのかという点を更に詳しく見ていくと、理由がわかってきます。

ブラックになるとは、信用情報機関に債務整理の手続をしたことが掲載されることとほぼ同義です。信用情報機関に情報が掲載されてしまうと、金融機関はその人に貸付をしなくなるからです。

しかし、信用情報機関にずっと情報が掲載されているかというとそういうわけではありません。すなわち、破産手続きをした場合であっても、JICCとCICであれば最長5年、全国銀行個人情報センター最長10年で情報の登録が終了すると言われています。

そのため、一定期間経過すると再度借入をすることができるようになり、その支払いが滞ってしまって2回目の破産に至ることがあります。

2回目の自己破産を行う際の注意点

前回の破産手続きから7年が経過していること

破産法上、前回の破産(厳密には免責許可決定の確定)から7年が経過していない場合には、免責を認めない事となっています。

もっとも、免責不許可事由があったとしても裁判所が裁量で免責を許可することもありえます(これを裁量免責といいます。)ので、前回の破産から7年が経過していないとしても破産が認められる可能性はありますが、ハードルが高いです。

裁判所(破産管財人)への丁寧な説明

2回目以降の破産手続きの場合、7年の期間が経過しているか否かを問わず、ほぼ確実に破産管財人が選任され、免責を許可していいのかどうかについてしっかりと審査を行うこととなります。

1回目の破産に至った経緯についても詳細に説明する必要があります。

また、ギャンブルや浪費と判断されうるような物品の購入等の免責不許可に該当しうる事情がある場合、免責不許可事由に該当しないと主張するためには、一つ一つの取引について詳細に説明した上で自身の収入の範囲内のものであるなどの詳細な説明を行っていく必要があります。

1回目と同様の免責不許可事由があったり、十分な説明ができないような場合には裁判所から免責の許可が下りない可能性が高いです。

2回目の自己破産が認められなかった場合にどうすればよいのか

自己破産が認められなかった場合のリスク

自己破産が認められなかった場合、債権者から訴訟を起こされて判決を取られてしまうと、財産や給与などを差し押さえられてしまう可能性があります。

したがって、自己破産が認められなかった場合に債務をそのままにしておくことはリスクが伴います。

そこで、破産申立てをしたけど免責が認められなかった場合には、任意整理・個人再生などの手続きを行うことが考えられます。

自己破産以外の債務整理手続きを行う

任意整理・特定調停

任意整理手続きは、裁判所が介在しない債務整理手続きになります。弁護士が債権者に受任通知を送付して債務の分割払い等の交渉を行い、最終的に合意できた返済方法に基づいて債務の返済を行っていくこととなります。

具体的には、3~5年程度の分割払いになり、場合によっては将来の利息を一部または全部カットしてもらうことができる可能性があります。

一方で、特定調停手続きは、簡易裁判所の民事調停手続きを利用した手続きになります。こちらは調停手続き内にて分割での支払いを交渉して合意できた返済方法に従って返済を行うこととなります。

任意整理との違いは、債権者との合意内容が調停調書となることです。

調停調書は判決と同一の効力を有することとなりますので、支払いが滞った場合に訴訟を経ることなく直ちに財産の差し押さえをされるというリスクがあります。

個人再生手続き

個人再生手続きは、裁判所で行う手続きとなります。債務の額を減額した上で、3年から5年の分割で返済を行うこととなります。

破産手続きと異なる点としては、住宅資金特別条項というものを設定した場合には自宅を売却せずに残しておくことができるところにあります。

個人再生の手続では、基本的には債務の額の10~20%程度を返済することとなるのですが、手元にある財産の評価額は最低限弁済しなければならないルールとなっていますので、申立ての前には弁護士と十分な打ち合わせをして方針を決める必要があります。

まとめ

2回目の破産手続きは厳格に審査されるため、申立てをする際にはじっくりと弁護士と相談の上進めていくことが必要になります。

自己破産ではなく、任意整理・個人再生などの破産手続き以外の手続きを選択することも悪くないかもしれません。

(監修者:弁護士 加藤貴紀