最終更新日:2023年5月26日
管財人とは裁判所の代わりに破産手続きを事実上行う弁護士です。申立をした裁判所の地元の弁護士が選任されることが多いです。管財人から指示・依頼された事項は速やかに解決しましょう。
目次
管財人とは
- 管財人とは、裁判所の代わりに破産手続きを事実上行う弁護士です。
- 申立をした裁判所の地元の弁護士が管財人に選任されることが多いです。
- 破産申立を依頼した弁護士とは異なる弁護士が管財人に選任されます。
- 管財人は敵ではありませんが味方でもありません。あくまで中立な第三者という立場で破産手続を進めていきます。
- 管財人は債権者集会にて債権者等に対する報告等を行います。
- 管財人は配当する財産がある場合、債権者に対する配当を行います。
- 管財人は会社や社長に届く郵便物を開けることができます。具体的には社長・会社宛の郵便物は管財人に転送されます。
管財人からの指示・依頼事項
- 会社(法人)の破産申立をすると管財人が選任されます。
- 管財人が選任された場合、早めに管財人と打合せをする必要があります。具体的には、管財人から打合せ日程調整の連絡があります。管財人との打合せは、社長・依頼をした弁護士が同席して行うことが多いです。
- 破産手続きが終了するまでの間、管財人から様々な指示・依頼があります。具体的には、①管財人→申立代理人弁護士→社長という流れでの依頼、②管財人→社長という流れでの依頼があります。
- 管財人からの指示・依頼事項は速やかに解決しましょう。管財人の業務が終わらないと破産手続が終わりません。
管財人の指示・依頼を軽視してはいけない
- 管財人の指示・依頼に従う義務が社長にはあります。
- 管財人の指示・依頼に従わない場合、免責不許可となることがあります。免責不許可とは社長の借金がゼロにならないことです。
- 管財人の指示・依頼に従わない場合、社長が非協力的であることを債権者集会で管財人が報告することがあります。管財人の報告内容次第では、債権者集会が荒れたり、債権者の社長に対する対応が厳しくなったりします。
管財人に関するよくある勘違い
Q 管財人は自分がお願いをした弁護士がなるのですか?
- 【管財人弁護士】と【自分が依頼した弁護士】は別の弁護士です。
- 管財人は裁判所が選任します。
Q 管財人は怖いですか?
怖くはありません。管財人はあくまで中立の立場です。味方ではないかもしれませんが、敵ではありません。
Q 管財人との打ち合わせでは過去の経緯を細かく聞かれるのですか?
- 管財人との初回打合せは1時間~2時間位のことが経験上多いです。
- 過去の経緯は既に申立書で説明済です。そのため、過去の経緯を細かく聞かれるということはあまりありません。聞かれやすいのは、①会社に残った財産を現預金に変える方法、②残っている契約関係を終了させる方法などです。
- 管財人との打ち合わせが何回あるかは事案によります。処分する財産がほとんどないような場合には打合せは1回だけのことが多いです。
Q 管財人の費用を請求されるのですか?
- 最終的に残った会社の預貯金から管財人の費用を出せば大丈夫です。
- 最低の管財人費用は地方によって異なりますが、法人の場合には20万円が最低費用のことが多いです。
- 事案複雑等の場合、20万円を超える管財人費用となることもあります。
Q ずっと管財人に監督されるのですか?
破産手続きが終了すれば、管財人との関わりは終了します。
Q 管財人は自宅にきますか?
- 社長の自宅に管財人がくることは経験上少ないです。
- ただし、社長所有の自宅を売却する手続きのため、管財人が自宅にくる可能性はあります。
Q 管財人がとんでもないことを言ってきます。どうすればよいですか?
- 管財人が「とんでもないこと」を言ってくることは経験上少ないです。管財人は裁判所とも相談しながら法律に従って業務を行っています。
- 「とんでもないことを言ってきている」と社長が感じた場合、何か破産手続きが順調に進んでいない確率が高いです。まずは味方である依頼した弁護士に相談してみましょう。
Q 管財人がひどいです。管財人を変えてくれませんか?
- 管財人は裁判所が選任します。そのため、管財人の変更はできません。
- 「管財人がひどい」と社長が感じた場合、何か破産手続きが順調に進んでいない確率が高いです。まずは味方である依頼した弁護士に相談してみましょう。
まとめ
- 管財人とは裁判所の代わりに破産手続きを事実上行う弁護士です。申立を行った裁判所の地元の弁護士が選任されることが多いです。
- 管財人から指示・依頼された事項は速やかに解決しましょう。
(監修者:弁護士 大澤一郎)