最終更新日:2023年5月15日
債権者集会とは、管財事件において、破産申立てを行った裁判所で、破産管財人から財産の処分結果や、免責をしてよいかの意見報告の他に、各債権者からの意見聴取などが行われる手続きです。
目次
債権者集会とイメージの実際の違い
テレビなどで目にする債権者集会は、債権者が怒鳴ったりして債務者を追及している場面が描かれることが多いです。「債権者集会に債務者として呼ばれたら怖い思いをするんじゃないか…」と思うかもしれません。
しかし実際は5~10分程度であっさりと終わるケースも多く、イメージと実際の手続きは異なります。
今回は、そんなイメージと実際の手続きのギャップや、そもそも債権者集会って何?といった疑問を解説します。
債権者集会とは?
債権者集会は自己破産手続きの一部です。
破産管財人という破産申立する弁護士とは別の弁護士が、債務者の財産状況や破産手続きの進行状況等について報告し、債権者から意見を聴取する手続きです。
債権者集会を開催するのはどんなとき?
自己破産の申立をしたからといって必ず債権者集会が開催されるとは限りません。
自己破産の手続きには大きく分けて2種類あります。「同時廃止事件」と「少額管財事件」です。
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このうち、少額管財事件のときに限り債権者集会を開催します。少額管財事件では破産管財人が財産の調査・報告を行いますから、債権者集会は債権者への報告の機会といったイメージです。
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債権者集会の流れ
債権者集会は次のような流れで進みます。
債権者集会の出席者
債権者集会の出席者は次の通りです。
- 裁判官
- 破産管財人
- 破産申立人
- 破産申立代理人
- 各債権者
債権者集会の進行
まず①破産管財人が破産申立人の資産状況等を説明します。次に②各債権者から破産申立人の破産に関する意見を聴取します。その上で③質疑応答や④配当などに関する報告が行われます。
個人で大きな問題がないときは、手続きは5~10分です。他方、問題がある破産のときは、30分以上時間がかかることもあります。
なお、個人と異なり法人の破産の場合は手続きが複雑になることが多いです。
債権者集会の回数
債権者集会の回数に制限や決まりはありません。千葉県では3か月に1回程度行われます。
個人で財産がなかったり、手続に問題がなかったりするときは1回で終わります。個人の財産が多かったり、手続に問題があったりするときは3~4回の開催が多いです。
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債権者の出席義務は?
債権者は債権者集会への参加は自由です。債権者が裁判所に行っても時間と労力がかかるだけでほとんど意味がないことも多いです。そのため債権者がほとんどこないことも多いです。債権者が誰もこないこともあります。
債務者の出席義務は?
債務者には債権者集会への出席義務があります。
債務者が正当な理由なく債権者集会を無断欠席すると、破産申立人としての義務違反です。欠席すると借金が0にならない免責不許可事由となる可能性が高いです。注意が必要です。
もっとも、病気や事故など正当な理由があるときは欠席できます。欠席理由を裁判所に説明できるようにしましょう。
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債権者集会が終わったら
債権者集会が終了したら、債務者の財産を各債権者に配当します。配当が終了すれば破産手続きが終了し、借金を0にする免責決定がでます。
債権者集会出席の注意点
時間厳守
債務者は債権者集会に出席する義務があります。遅刻すると極めて印象が悪いです。
代理人弁護士がいるときでも、債務者自身は債権者集会に必ず参加する義務があります。債権者集会には時間厳守で出席することが重要です。
質問には誠実に回答
債権者や裁判官が質問をすることがあります。質問には誠実に答えましょう。その場で回答できることは回答し、回答できないことは後日調べてから回答しましょう。嘘は厳禁です。
当日の服装
債権者集会では特に服装の指定や義務はありません。
しかし、債権者集会には免責決定をする裁判官、免責意見を述べる破産管財人、各債権者が一堂に会します。そのため、派手な服装やカジュアルすぎる服装、高級ブランド品などは避けた方が無難です。
スーツや、シャツにスラックスなどはもちろん、一般的な服装であれば特に問題はありません。
まとめ:債権者集会
債権者集会は自己破産手続きの一部です。破産管財人という破産申立する弁護士とは別の弁護士が、債務者の財産状況や破産手続きの進行状況等について報告し、債権者から意見を聴取する手続きです。
借金問題に関しては、対応が早いほど適切な方針が選択できます。少しでも借金問題で悩まれたら早期に専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
(監修者:弁護士 川田啓介)