最終更新日:2023年5月18日
個人再生委員とは裁判所が選任する弁護士で、個人再生手続の監督を行います。具体的には財産や収入の調査、債権の評価に関する裁判所の補助、適切な再生計画案作成のための勧告などを行います。
個人再生委員とは
個人再生委員とは裁判所が選任する弁護士です。個人再生手続の監督を行います。
具体的には財産や収入の調査、債権の評価に関する裁判所の補助、適切な再生計画案作成のための勧告などを行います。
個人再生委員が選任されるとき
では個人再生委員はどのようなときに選任されるのでしょうか?
「裁判所は必要があると認めるときは個人再生委員を選任することができる」と民事再生法は定めています。
借金を5分の1 程度に減額し、3~5年間で返済する手続きが個人再生手続きです。(金額や期間は例外もあります)
そこで、毎月どのような返済を行っていけばいいのか、毎月の返済は実現可能なのか等について、裁判所に代わって監督を行う必要がある場合に個人再生委員が選任されます。
東京地方裁判所では、小規模個人再生事件・給与所得者再生事件の申立は、全て個人再生委員を選任する運用です。
他方、千葉地方裁判所では、弁護士が申立手続きの代理を担当した場合、個人再生委員は必ずしも選任されません。
個人再生委員の費用
では個人再生委員が選任されると費用はかかるでしょうか?
個人再生委員が選任されると、裁判所に予納金を納める必要があります。予納金とは手数料のことです。
予納金は15~20万円が多く、より高額の予納金が必要になることがあります。
個人再生委員がすること
では個人再生委員はどんな仕事をするのでしょうか?個人再生委員の主な職務は3つです。
- 債務者の財産及び収入の状況を調査すること
- 再生債権の評価に関し裁判所を補助すること
- 債務者が適正な再生計画案を作成するために必要な勧告をすること
財産及び収入の状況の調査
財産及び収入の状況を調査とはどんなことをするのでしょうか?
個人再生手続きは、借金を5分の1程度に減額し、3~5年間で返済する手続きです。
個人再生委員に選ばれた弁護士は、申立書を確認して面談を行い、返済ができるかについて、必要に応じて報告を求めたり、帳簿や書類の検査を行うといった調査を行います。
また、小規模個人再生手続の条件でもある
- 継続的に収入を得る見込みがあるか
- 再生債権の総額が5,000万円を超えていないか
等の調査も行います。
再生債権の評価
再生債権の評価とはどんなことをするのでしょうか?
再生債権とは、個人再生手続きにより減額や分割払いとなる債権などです。
再生債権の評価の申立てがあったとき、個人再生委員は再生債権の存否及び評価などを調査し、報告書を提出します。
再生債権の金額を正確に確定した後、減額率や分割払いの金額を決定します。
適正な再生計画案を作成するために必要な勧告
債務者が適正な再生計画案を作成するために必要な勧告とはどんなことをするのでしょうか?
個人再生では再生計画案を作成し、裁判所に提出します。
個人再生委員は作成された再生計画案をチェックします。適正な再生計画案であるかどうか、訂正や修正指示等を勧告します。
具体的には次のようなチェックを行います。
- 再生計画に基づく弁済総額が民事再生法が定める金額を下回っていないか?
- 清算価値の算定に誤りがないか?
- 弁済総額が清算価値を下回っていないか?
面談や追加資料提出の可能性
では個人再生委員と面談をするのでしょうか?
個人再生委員が選任されると、個人再生委員に選ばれた弁護士と面談を行います。
個人再生をすることになった事情、家計の収支の状況、所有する財産等を個人再生委員が質問します。
質問には正直に答えましょう。
厳しい質問もありますが、個人再生委員は敵ではありません。
嘘を付くと個人再生が認められない確率が高まりますので要注意です。
個人再生委員との面談後に追加の資料を求められることがあります。
追加の資料提出を求められた場合、速やかに指示された書類を準備し提出を行いましょう。
まとめ:個人再生委員
個人再生委員は裁判所が選任する弁護士です。個人再生手続の監督を行います。
具体的には財産や収入の調査、債権の評価に関する裁判所の補助、適切な再生計画案作成のための勧告などを行います。
個人再生委員が選任されたとき、15~20万円程度の手数料を裁判所に納める必要があります。
(監修者:弁護士 根來真一郎)