最終更新日:2023年5月26日

負債は3年から5年の分割払いとなります。財産は原則として失いません。

任意整理すると負債・借金はどうなる?

借金総額

任意整理をした場合、払いすぎた利息がある場合には再計算を行います。具体的には次の利率を超えたキャッシング(お金の借入)の場合には再計算を行って支払総額が大幅に減ることがあります。

  • 元本10万円未満のとき:年20%を超えた利息は再計算可能
  • 元本10万円以上100万円未満のとき:年18%を超えた利息は再計算可能
  • 元本100万円以上のとき:年15%を超えた利息は再計算可能

なお、ショッピング(物の購入)の場合には再計算はしませんので支払総額が減る確率は低いです。

毎月の支払額

  • 任意整理をした場合、3年から5年の分割払いで合意することが多いです。具体的には36回から60回での分割払いとなります。例えば、総額50万円の借金の場合には月額の支払は約8400円から約14000円となります。
  • なお、将来の利息なしで弁護士は提案をすることがほとんどです。具体的には、元金が50万円であれば総額50万円の支払のみを提案します。(ただし、業者が将来の利息なしで合意するとは限りません。)

任意整理をすると財産はどうなる?

任意整理をした場合、基本的には持っている財産を手放す必要はありません。ただし、任意整理を行った金融機関の預貯金の引出ができなくなったり、ローンで購入した車の引き上げを求められたりすることがあります。

任意整理するとデメリットは何がある?

  • クレジットカードが使えなくなります。また、5年から10年間は新しいクレジットカードの作成が難しいです。
  • 任意整理に失敗した場合、自己破産又は個人再生を改めて行う必要があります。
  • 連帯保証人がいる借入の場合、連帯保証人に一括払いでの請求がいきます。

任意整理のよくある勘違い

Q. 任意整理と債務整理は同じ意味ですか?

  • 違う意味です。
  • 債務整理の方法として自己破産・個人再生・任意整理があります。つまり、任意整理は債務整理の方法の1つとなります。
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Q. 任意整理は必ず成功しますか?

  • 必ず成功するとは限りません。
  • 任意整理は弁護士と業者が個別に交渉して合意するものです。そのため、合意が決裂した場合には任意整理ができず、個人再生や自己破産に移行する必要があることが多いです。
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Q. 業者は任意整理に必ず応じるということであっていますか?

  • 業者は任意整理に必ず応じるとは限りません。
  • 業者が任意整理に応じない場合の例としては、①借入から任意整理までの期間が短い場合、②元々強硬な方針をとる業者から借入をしている場合などがあります。

Q. 任意整理をすると元本は必ず減りますか?

  • 必ず減るとは限りません
  • 任意整理をした場合、過払い金が発生する場合を除いて元本は減りません。ただし、将来の利息は全額免除(又は一部免除)で合意できることが多いです。結果的に支払総額が減ることが多いです。

Q. 任意整理をすれば大幅に楽になりますか?

  • 個別の状況によります。大幅に楽になる場合もありますが、ほとんど変わらない場合もあります。
  • 任意整理は36回から60回程度の分割払いで返済をする方法です。そのため、事前に返済可能かきちんと検討した上で進めないと結局問題解決に至りません。特に今後の収入の予定を甘めに計算してしまった結果、任意整理が失敗することがあります。今後の収入の予定は慎重に検討しましょう。

Q. 任意整理はデメリットは少ないということですか?

確かに、任意整理と比較して自己破産・個人再生はデメリットは多いかもしれません。しかし、任意整理を行った場合のデメリットもあります。

例えば、①一定期間借入ができなくなる、②結局支払ができなくなる、③業者と合意ができずに破産等になる、④連帯保証人に請求される等のデメリットは任意整理でもあります。

Q. 弁護士に任意整理を依頼すれば裁判は起こされませんか?

  • 裁判を起こされる可能性はあります。
  • 弁護士に任意整理を依頼しても業者が裁判を起こすことは自由です。そのため、合意が成立しない場合には業者が裁判を起こすことはあります。

Q. 弁護士に任意整理を依頼すれば財産の差押はされませんか?

  • 差押をされる可能性はあります。
  • 弁護士に任意整理を依頼しても業者が差押をすることは自由です。特に、不動産の差押や給与の差押をされると被害が大きくなります。
  • 差押をするためには裁判の判決があったり、裁判所での合意があったりすることが必要です。差押をされる前にできることはありますので早めに解決のための行動をしましょう。

Q. 任意整理をしなかった業者のクレジットカードは利用し続けられますか?

  • 利用し続けられないことが多いです。
  • 任意整理などの債務整理をすると信用情報機関に情報が登録されます。いわゆる「ブラックリスト」です。ブラックリストに登録された場合、すぐではありませんが、任意整理をしていないクレジットカードも通常利用できなくなります。

Q. 住宅ローンを任意整理で解決できたりしますか?

  • 任意整理を住宅ローンで行うことは難しいです。
  • 住宅ローンの場合、銀行に正直に状況を話して条件変更をしてもらいましょう。または、個人再生申立を行って住宅ローンの条件を変更してもらう方法もあります。

まとめ

  • 任意整理をした場合、負債は3年から5年の分割払いとなります。
  • 任意整理をした場合、財産は原則として失いません。

(監修者:弁護士 大澤一郎