最終更新日:2023年5月26日
- 返済総額を確定させます。
- 長期の分割払にします。
- 期限の利益喪失条項がつきます。
- 清算条項がつきます。
目次
任意整理とは
- 借金の返済が家計を圧迫していたり、圧迫にとどまらず返済が困難な状態になっていたりするときに、返済を継続することを可能にする方法です。
具体的には、債権者と協議をして返済条件変更の合意を成立させることを目的とする手続です。 - 任意整理時の債務総額は全額返済することになるのが原則です。
- 債務総額の減額の実現を目指す個人再生手続や免責の実現を目指す自己破産とは異なる手続です。
任意整理した場合の合意の条件
1. 返済総額の確定
- 業者から50万円を借りたとして、これを分割で返済する場合、全部で50万円を返済すれば完済したことになるでしょうか?
実際は50万円以上の返済が必要となります。業者から借りるときには利息の返済も必要だからです。 - また、仮に、本日時点での残高が40万円だったとしても、翌日も40万円であることはありません。1日経過すれば1日分の利息が加わってくるためです。
そのため、業者から借入れを行ったとき、最終的にいくら返せばよいのかは確定していないのです。 - 債務総額の確定が必要となるため、任意整理においては、業者に対して、債務総額を確定させることを内容とする提案をします。
そして、業者との間で合意ができれば、将来発生するはずの利息をカットする合意をします。 - 利息制限法の上限を超える利率での契約だったときは利息の再計算を行ったうえでの債務総額確定をします。
2. 支払方法
- 任意整理においては、確定された返済総額を分割して返済して完済する内容の提案をします。
3年から5年になることが多いです。36回から60回の分割払いです。 - 通常は、任意整理前より1回当たりの返済額が少なくなるようにして返済継続が可能になる合意を目指します。
- 総額の大部分を一括で返済したときには残りは免除してもらう内容での合意を検討することもあります。
3. 期限の利益喪失条項
- 分割払をする内容で合意をするときには、支払が遅れた場合は残額について即時一括の支払義務を発生させる内容の条項を加えるのが通常です。期限の利益喪失条項といいます。
- 1度の遅れで直ちに期限の利益を喪失するようなことには普通しません。2回遅れると期限の利益を喪失する条項にすることが多いです。
- 期限の利益を喪失したときはさらに残金一括払いに加えて、遅延損害金が発生する内容の条項も加わります。
4. 清算条項
- 合意が成立したとき、ほかに積み残しの問題がないようにしたいです。合意は成立したけどそれ以外にも債務があるなどといってくるといけません。
- そのため、合意した内容以外には積み残しの問題はないという条項も加えます。清算条項といいます。
5. その他
- 合意するかどうかやどのような条件なら合意できるかを検討するのは債権者の自由です。そのため、任意整理を試みたが分割払いの合意成立に至らないこともあります。
- 取引期間(契約してから任意整理を行うまでの期間)が短いと、合意はできないといってくることが多くなります。
- 合意はできるけれども将来利息のカットは難しいとか長期の分割は難しいと言ってくることもあります。
また、将来利息をつける内容なら合意できるとか短期の分割なら合意できるなどといってくることもあります。
まとめ
任意整理で合意が成立した場合、合意の条件は次のとおりになります。
- 返済総額を確定させます。
- 長期の分割払にします。
- 期限の利益喪失条項がつきます。
(監修者:弁護士 佐藤寿康)