最終更新日:2023年5月26日

債権者集会とは裁判所で行う手続です。主として管財人が破産の経緯報告などを行います。「集会」という名前ですが債権者が1人も出席しないことも多いです。

目次

会社・社長の破産手続きの流れ

会社(法人)と社長(代表取締役)の破産手続は次の流れで進みます。

  1. 弁護士への相談
  2. 弁護士から債権者への通知の発送
  3. 破産申立書類の準備
  4. 裁判所に破産申立
  5. 破産管財人の選任
  6. 破産管財人による財産換価・調査
  7. 債権者集会
  8. 債権者への配当
  9. 破産手続の終了

債権者集会

  • 債権者集会とは裁判所で行われる手続きです。通常は裁判所の建物内で行います。
  • 事前に〇年〇月〇日〇時と裁判所が日程を指定します。そして、裁判官、管財人、社長、弁護士、出席を希望する債権者が出席します。
  • 債権者集会への出席は債権者の権利ですが義務ではありません。そのため、実際には出席を希望する債権者は少ないです。
  • 事案によりますが、債権者集会に債権者が1人も出席しないこともあります。
  • ①裁判官による集会開始の告知、②管財人からの報告、③(質問がある場合は)債権者からの質問、④今後の流れについての裁判官の決定という流れで債権者集会は進むことが多いです。

債権者集会の回数

  • 債権者集会の回数は事案によります。最低1回は行われます。2回以上行われることもあります。
  • 債権者集会が1回で終わる事案が経験上は一番多いです。次に多いのは債権者集会が2回で終わる事案です。
  • ただし、会社の規模が大きかったり、事案が複雑だったりする場合、数年にわたって5回~10回程度債権者集会が行われることもあります。

債権者集会で事前に社長が準備しておくこと

  • 洋服は債権者に違和感を与えない服装が望ましいです。華美な服装やラフな服装は避けましょう。
  • 債権者集会の前後の時間に債権者と裁判所内で出会ってしまうことがあります。事前に依頼した弁護士と相談をして待ち合わせ場所や解散場所などを決めておきましょう。
  • 債権者に迷惑をかけていることは事実です。債権者集会であいさつ等を求められた場合、短い内容でもよいので誠実に謝罪しましょう。
  • 確率は低いですが債権者からの質問に社長が答える必要があることがあります。その場で回答できる場合には誠実に回答しましょう。その場で回答できない場合は「正確に回答するために後日管財人に書面で報告します」等の回答が望ましいでしょう。

債権者集会のよくある勘違い

Q 債権者集会では社長が債権者から糾弾・非難されるのでしょうか?

  • 社長が糾弾・非難される事案は極めて少ないです。
  • 裁判官が司会を行い、参加者が管財人の報告を聞くという流れで進むことが多いです。
  • ただし、会社・社長に違法行為や問題行為が多数ある場合、債権者集会が荒れる可能性もあります。

Q 債権者集会では怒号や罵声がありますか?

  • 怒号や罵声はほぼありません。
  • 裁判所の手続きのため、不規則発言は裁判官が制止します。

Q 債権者集会では債権者がたくさん出席しているのですか?

  • 出席する債権者は少ないです。
  • 第1回の債権者集会に出席した債権者でも、第2回以降の債権者集会は欠席することが多いです。
  • 債権者が1人も出席していないことも多いです。

Q 債権者集会では債権者からたくさん質問が出ますか?

  • 質問はあまり出ません。質問が全くないことも多いです。
  • 質問があった場合、管財人や裁判官が質問に答えることが多いです。
  • ただし、社長しかわからない質問の場合、社長が回答を求められることもあります。

Q 債権者集会は1時間位はかかりますか?

  • 中小企業の破産の場合、債権者集会は20分以内に終わることが多いです。短い場合は5分位で終わることもあります。

Q 債権者集会当日に何か重大なことを決めるのでしょうか?

  • 債権者集会以前に裁判所・管財人・社長(弁護士)が事前に内容を擦り合わせしています。
  • そのため、債権者集会は、実質的に何かを決める集会というよりも、今までの経緯を報告する集会という意味合いが強いです。

まとめ

  • 債権者集会は裁判所で行う手続です。
  • 債権者集会では主として管財人が破産の経緯報告などを行います。
  • 債権者集会は「集会」という名前ですが債権者が1人も出席しないことも多いです。

(監修者:弁護士 大澤一郎