最終更新日:2023年5月29日

社長も破産が必要となることが多いです。ただし、①社長に負債がない場合、②社長が個人再生できる場合等は破産は必要ありません。

目次

会社が破産した場合に社長も破産が必要な理由

  • 株式会社などが破産した場合、社長(代表取締役)が自動的に破産となるわけではありません。しかし、会社が破産するような状況の場合、会社借入の連帯保証人に社長がなっていることが多いです。また、連帯保証人になっていない場合でも社長個人が金融機関等から借入していることが多いです。そのため、会社が破産をした場合、社長も破産をすることが多いです。
  • また、社長に負債がある場合、会社のみの破産申立を裁判所は認めず、社長個人も同時に破産申立をするよう促してくることが多いです。

例外①社長に負債がない場合

  • 社長個人に全く負債がないという場合もあります。例えば、負債のある会社の経営を途中で引き継いだ社長の場合、社長個人の負債はないことがあります。社長に負債がない場合は当然かもしれませんが社長は破産する必要はありません。
  • ただし、一見すると社長に負債がないように見える場合であっても、実際には次のような負債があることもあります。過去の契約書や決算書を確認しましょう。
    1. 金融機関の借入の連帯保証債務(連帯保証人)
    2. リース契約や建物賃貸借契約の連帯保証債務(連帯保証人)
    3. 会社からの借入金

例外②社長が個人再生できる場合

個人の債務整理の方法には自己破産、任意整理、個人再生(民事再生)等の方法があります。そして、会社が破産申立をすると共に社長が個人再生申立を行う場合、社長は破産する必要はありません。

負債額が5000万円以下であることが必要です

  • 社長が個人再生申立をするためには負債額が5000万円以下であることが必要です。
  • 住宅ローンは5000万円の計算に含めなくて大丈夫です。例えば、住宅ローンが3000万円、その他の負債が4000万円の場合には個人再生申立が可能です。
  • 連帯保証債務も含めて5000万円以下であることが必要です。例えば、社長個人の債務が3000万円、会社の債務を社長個人が連帯保証している債務が3000万円の場合、合計6000万円となってしまいますので個人再生はできません。

継続的な収入があることが必要です

個人再生の場合、継続的な収入があることが必要です。会社が破産となる場合、社長は一時的に失業してしまうことが多いです。そのため、個人再生申立をする場合には早急に新しい仕事を始めることが必要です。

一定額の支払が必要です

個人再生の場合には破産と異なり一定額の支払が必要となります。具体的には減額後の支払額は次の通りとなります。

元々の借金額 支払額
100万円以上
~500万円以下
100万円
500万円超
~1,500万円以下
借金総額の
5分の1
1,500万円超
~3,000万円以下
300万円
3,000万円超
~5,000万円未満
借金総額の
10分の1

社長も破産をするメリット

会社が破産した場合、社長も破産が必要となってしまうことが多いです。しかし、社長が破産することのメリットもあります。

メリット①生活が楽になる

社長個人の負債もなくなりますので今後の収入は返済に充てる必要がありません。生活が楽になります。

メリット②道義的な責任追及をされず気分が楽になる

会社の破産の場合、取引先や従業員に迷惑をかけることがあるかもしれません。しかし、社長個人も破産をしている場合、社長個人に対して何らかの道義的な責任追及をしてくることは経験上ほぼないです。気分が楽になります。

メリット③人生の再スタートができる

お金の面でも気持ちの面でも一度リセットできます。人生の再スタートができます。

まとめ

  • 会社が破産した場合、社長も破産が必要となることが多いです。
  • ただし、①社長に負債がない場合には破産の必要はありません。また、②社長が個人再生できる場合も破産の必要はありません。

(監修者:弁護士 大澤一郎