千葉県柏市大島田在住の柴津路明雄様(仮名)の解決事例
ご相談までの背景
住宅ローンが銀行から保証会社に移転し、保証会社が競売申立てを行いました。
ご依頼者様は、裁判所からの書類を受け取って初めて、住宅ローンが保証会社に移転したこと、裁判所の競売手続に乗せられたことを知りました。
ご依頼者様は、住宅ローンの引き落とし元の口座に入金しておいても引き落としがされないことに気付いていましたが、なぜかなあ、まあいいかと思いそのままにしていました。
個人再生手続の申立てを行い、その結果、住宅ローンは保証会社から銀行に戻り、住宅を残して住宅ローンの返済を継続して行うことができる状態にすることができました。
弁護士よりコメント
まず、住宅ローンの引き落としがなされなかったことに気付いたら、金融機関に問い合わせを行うなどしてその原因を調べることが大切です。
それをしないまま放置すると決して良い結果にはなりません。
後で判明したことですが、ご依頼者様のお宅には銀行からの住宅ローンの滞納解消のお願いが記載された書面や、住宅ローンが保証会社に移転したことを通知する内容が記載された書面が送られてきていました。
それらをチェックして住宅ローンの滞納を早期にご依頼者様が解消していれば、競売申立てに至らなかったと思います。
本件では、結果として個人再生手続を行うことで住宅ローンを保証会社から銀行に戻すことができましたが、これを実現するためには、住宅ローンが保証会社に移ってから6か月以内に個人再生手続の申立てを行う必要があります。
本件では、保証会社が競売申立てをしたのがとても早かったため、ご依頼者様が「なんとかしなければ」と気付き、その結果、保証会社に移ってから6か月以内に個人再生手続の申立てを行うことができました。
保証会社による競売申立てがもう数か月あとになされていたら間に合わなかった可能性が高いです。
結局住宅ローンは銀行に戻りましたが、保証会社に移る前と同様というわけにはいかず、競売申立て費用を分割で保証会社に支払ったり、追加保証料の支払をしたりすることとなりました。
弁護士費用や手続面での負担もお願いすることとなりました。
この件を通じてお伝えしたいことは、次の2点です。
- 住宅ローンの滞納があって競売申立てに至っても、競売手続が開始されてから間もないときであれば、個人再生手続を行うことにより住宅を確保することができることもあります。
- 住宅ローンの通常の引き落としがなされなくなるなどのことがあったときは、何か原因があるはずですので調べることをお勧めします。
本解決事例についての質問と回答・解説
Q. 「住宅ローンが銀行から保証会社に移転した」とはどういうことですか。
A. 住宅ローンの契約書には、通常、次の趣旨が記載されています。
A:毎月契約どおりの返済をしてください。
B:契約どおりの返済が滞ると、残額を一括で支払う義務が発生するほか、遅延損害金が発生します。
C:Bの場合、保証会社が貸主(銀行)に元利金及び遅延損害金を支払います。保証会社がこの支払ったとき、借主は、この金額に遅延損害金をつけて直ちに保証会社に支払わなければなりません。
Cの保証会社による貸主(銀行)への支払が実行されたとき、借主から見ると、
- 貸主(銀行)への支払義務はなくなった。
- 一方で保証会社に直ちに支払う義務を負うことになった。
という状態になります。このような状態を指して「住宅ローンが銀行から保証会社に移転した」とお書きしました。
Q. 住宅ローンが銀行から保証会社に移転すると何が問題なのですか。
A.
- 住宅ローン残額以上の金額について即時一括の支払義務を負うので、返済が困難になります。また、保証会社が住宅の競売の申立てをすることができるようになります。
したがいまして、住宅を保有し続けることが困難になります。 - 個人再生手続を行うことにより、
- 住宅ローンの返済先が貸主(銀行)に戻る(「巻戻し」と呼んでいます。)。
- 即時一括の支払義務を負っている状態を解消する。
ことを目指すことができます。これが叶えば住宅を失わずに済みます。
そのためには、遅くても住宅ローンが銀行から保証会社に移転してから6か月以内に個人再生手続の申立書を裁判所に提出しなければならないことになっています(ほかにも要件はあります。)。時間があまりありません。
※プライバシー保護のため、お客様住所は実際の住所ではなく近隣の住所を記載していることがあります。写真はイメージ画像であり実際のお客様とは異なります。記載内容は当事務所のPRを含みます。