最終更新日:2023年5月26日

次のような場合は少額管財となることが多いです。

  • ①一定の財産を保有している場合
  • ②事業者や法人の代表者であった場合
  • ③事情を調査する必要がある場合
  • ④債務総額が高額の場合
  • ⑤債権者多数の場合

目次

同時廃止と少額管財の違い

  • 破産者の資産総額が少額であり、かつ、問題となるべき行為がない場合等、裁判所が「管財人をつけてまで換価業務や調査を行う必要がない」と判断した場合、同時廃止(破産手続きの開始と同時に廃止決定がなされる簡単な手続)になることがあります。
  • 同時廃止になった場合は破産管財人がつきません。管財業務のための費用(引継予納金)は不要です。手続きも簡易・迅速に進みます。そのため、破産者には様々なメリットがあります。
  • 同時廃止にならず、少額管財事件となった場合、裁判所が選任した破産管財人がつきます。管財人が付く場合、管財業務の費用・報酬として、引継予納金(20万円程度)を裁判所に支払う必要があります。
  • 引継予納金は、管財人の業務の費用、報酬に充てられます。そのため、破産者に返ってくることはありません。
  • 破産申立を弁護士に委任しない場合、少額管財ではなく、通常の管財事件になることが多いです。通常の管財事件の場合、引継予納金が50万円程度と高額になることもあります。
  • 自己破産の申立では、まずは簡単な同時廃止で進められないかの検討をお勧めします。

同時廃止と少額管財で共通する費用

  • 「申立手数料」、「郵券代(切手代)」、「官報広告費」などの費用を裁判所に支払う必要があります。債務額や裁判所によりますが、合計1~3万円程度のことが多いです。
  • 自己破産手続を弁護士に委任する場合、弁護士費用がかかります。

引継予納金はいつ支払う?

  • 自己破産の申立て当日~1か月後くらいに支払うことになります。具体的な取り扱いは裁判所により異なります。
  • 原則一括払いです。裁判所によっては引き継ぎ予納金の分割払いが認められることもありますが、全額を支払うまでは自己破産の手続きが終わりません。

同時廃止になることが多い

  • 破産法上、複雑な少額管財が原則であり、簡単な同時廃止は例外的な扱いとされています。ただ、実際は、自己破産の6割前後が簡単な同時廃止になっています。
  • 同時廃止か少額管財かの振り分けの基準は、裁判所によっても異なりますが、次の①~④の事情がある場合などは少額管財になります。

「①一定の財産を保有している」とは?

次の場合は「一定の財産を保有している」と判断され少額管財となることが多いです。

  • 現金を33万円以上持っている場合
  • 不動産や自動車、生命保険の解約返戻金、預貯金、退職金など、1つで20万円以上の価値がある資産を持っている場合

「②事業者や法人の代表者であった場合」とは?

  • 中小規模の会社の場合、会社の借金と代表者個人の借金は密接な関係にあることが多いため、会社と代表者の破産手続きをセットで申し立てることがほとんどです。
  • 会社の破産事件は管財人がつくため、セットで申し込んだ場合は代表者個人の破産も少額管財となります。
  • 本来は、代表者個人と法人それぞれに引継予納金がかかるところ、破産手続をセットで申し立てた場合、裁判所によっては、個人・法人合計で20万円~40万円程度にしてくれることもあります。

「③事情を調査する必要がある場合」とは?

次の場合は、少額管財になる可能性が高くなります。

  • 借金の原因がギャンブルや投機行為、浪費等が疑われる場合
  • 財産を隠していると疑われる場合
  • 弁護士などの専門家と委任契約を締結した後で、新たな借入や一部の債権者への返済などの行為をした場合
  • 7年以内に免責許可決定を受けた場合

「④債務総額が高額になる場合や、債権者多数の場合」に少額管財になる理由

  • 「債務総額が高額」とは、約5000万円以上の場合です。
  • 債務総額が高額になる場合や債権者多数の場合は、資産や負債について調査する必要性が高いため、少額管財となります。

まとめ

  • 自己破産手続では、一定の財産を保有しているなどの事情がある場合には少額管財となりますが、そうでないケースでは同時廃止になることも多いのが実態です。
  • 同時廃止か少額管財か微妙なケースでは、裁判所に「管財人をつけるまでもない」事案だと思ってもらうことが重要です
  • そのためには、破産申立書の中で必要な説明を十分に尽くすこと、裁判所が気にするであろう資料を前もって提出するなど、申立前の準備段階がカギになります。どれだけ綿密に準備ができるかによって少額管財になったり同時廃止にしてもらえたりが変わってくることもありますので、弁護士とよくご相談いただくことが大切です。

(監修者:弁護士 辻佐和子