最終更新日:2023年5月26日
原則として完済から10年経過していなければ請求することができます。例外的に、10年経過していても請求することができる場合があります。
目次
過払い金の時効は原則10年
過払い金は、原則として完済から10年が経過していなければ請求することができます。完済してから10年が経過してしまうと、時効が完成してしまい、過払い金の請求が認められない可能性が高くなります。
10年以上経過していても請求することができる場合
完済から10年が経過してしまうと、時効が完成してしまうため、過払い金を請求することができないのが原則です。もっとも、例外的に、完済から10年が経過していても時効が完成しない場合があります。
貸金業者が不法行為を行っている場合
貸金業者が取り立てを行うにあたり不法行為を行っている場合には、完済から10年が経過していても時効が完成しない可能性があります。
時効が完成しない可能性のある不法行為は、以下のような行為です。
- 暴行や脅迫を伴う取り立て行為
- 連日にわたる嫌がらせによる取り立て行為
- 早朝や深夜(午後9時~午前8時)など、非常識な時間帯の取り立て
借り入れと返済を繰り返している場合
同じ貸金業者から、完済と借入を繰り返している場合には、一度目の完済から10年が経過していても時効が完成しない可能性があります。
同じ貸金業者から、借り入れと返済を繰り返しているような場合、それらの取引が連続した一つの取引と認められる場合があります。そのような場合、時効の完成は、連続した一つの取引の最終日から10年が経過したときとなります。
例えば、以下のような取引があったとします。
- 2000年から借り入れ
- 2012年9月1日に完済
- 2012年9月11日に再度借り入れ
- 2015年9月1日に再度完済
2012年9月1日に完済した借金については、原則として10年後である2022年9月1日の経過で時効が完成することになります。
しかし、2012年9月11日に同じ貸金業者から同じ条件で再度借り入れをしていたような場合には、連続した一つの取引と認められる可能性があります。
そうすると、最後に借金の完済をした2015年9月1日から10年後の2025年9月1日が経過したときに、時効が完成することになります。
時効を完成させない方法
時効が完成してしまうと、過払い金が発生していても過払い金を請求することができなくなってしまいます。
そこで、完済から時間が経過している場合には、時効が完成する前に、時効の進行を止める手立てをとる必要があります。
以下の方法により、時効が完成することを防ぐことができます。
過払い金返還請求書を貸金業者に送付する
過払い金返還請求書を貸金業者に送付することで、過払い金の時効の完成が6カ月間猶予されます。6カ月間という限定的な猶予になりますので、こちらの方法は、時効完成間近の一時的な対処方法となります。
訴訟を提起する
訴訟提起をすることで、時効がリセットされます。
判決により過払い金の返還請求権が認められると、再び時効期間が与えられ、判決が確定したときから10年後に時効が完成することになります。
まとめ
- 過払い金は、原則として完済から10年経過していなければ請求することができます。
- 完済から10年経過していても、例外的に請求することができる場合があります。
(監修者:弁護士 大友竜亮)