最終更新日:2023年5月26日

個人の破産申立てをする人の財産を管理する者として、
お願いをした申立代理人弁護士とは別に裁判所が選任する弁護士が管財人です。

目次

管財人とは

管財人とは、破産手続において破産財団に属する財産の管理及び処分する権利を有する者をいいます。

要するに、破産する人の財産を管理したりする人です。

自己破産の申立てがされると、一定以上財産があったり、債務超過の原因や資産状況などを調査する必要があったりする場合に管財人が選任されます。

管財人は破産申立人の財産管理や調査の他に、破産者に代わって破産者が保有している財産を換価し、債権者に分配するという役割を担っています。

個人の破産手続きで管財人が選任される場合

個人の破産では手続きが2種類あります。同時廃止と少額管財事件です。

  • 同時廃止 管財人が選任されない簡単な手続きです。
  • 少額管財事件 管財人が選任される手続きです。

いずれの手続きになるかは裁判所が決めます。

財産調査や事実調査が必要な場合は少額管財事件が多いです。財産が少なく調査も不要な場合には同時廃止が多いです。

個人の破産手続きで管財人が選任される少額管財事件の特徴は次の通りです。

  • 最低20万円の予納金が必要となることが多いです。予納金は申立代理人の弁護士費用ではなく管財人の費用・報酬です。
  • 借金がゼロになる免責決定までの期間が長くなります。少額管財事件となった場合、財産の調査や処分などを行うため、同時廃止よりも手続きの長期化が見込まれます。半年から1年以上かかる場合もあります。
  • 債権者集会が開催されます。債権者集会とは、裁判所の指揮のもと、申立人の資産状況や手続きの進行状況などの共有のために管財人・破産者・破産債権者が参加して行われる手続きです。
  • 引っ越しや旅行に許可が必要です。破産手続き中は、居住地制限の規定があります。そのため、生活の本拠である居住地を離れての引っ越しや連泊での旅行は裁判所の許可が必要です。
  • 本人宛の郵便物が管財人に転送されます。破産手続開始決定時から第1回債権者集会期日の終了時までのことが多いです。

個人の破産手続きでの管財人の職務内容

管財人の職務内容は次のとおりです。

破産者の債務額確定

特に争いがある債務を中心に債務額の調査を管財人が行います。

債権者集会における資産状況等の報告

特に資産が多い場合や破産に至る経緯に問題がある場合、管財人が債権者集会で詳細を報告します。

破産者の財産の管理・処分

大きな財産を管財人が処分します。法人の破産の場合には全ての財産が処分されますが、個人の破産の場合には一定の財産は保てることがあります。

破産原因や経緯の調査

ギャンブル・浪費など問題がないかを調査します。大きな問題があると借金がゼロにならないことがあります。

破産債権者への配当手続き

管財人が集めた財産を法律で決められた順番や割合に従って債権者に配ります。

個人の破産手続きで管財人が選任された場合の注意点

  • 個人の破産手続で管財人が選任された場合、何らかの課題があります。一番多いのは比較的高額の財産がある場合ですが、ギャンブル・浪費など借金の原因に問題がある場合も多いです。借金がゼロになる免責決定がもらえるよう誠実な対応を心掛けましょう。
  • 管財人からの要請に協力する必要があります。管財人から面接を求められたら面接をしなければなりません。管財人からの連絡を無視して調査に協力しないと、借金がゼロにならないことがありますので注意しましょう。
  • 本人宛の郵便物が管財人に転送されます。光熱費等の請求書が届くのが遅くなり未払となることがありますので注意しましょう。
  • 転居や旅行をする場合には裁判所の許可が必要です。もっとも許可が出ることが多いです。
  • 管財人は中立の第三者です。お願いした弁護士とは別の弁護士であり、資産状況等を細かく調査することから、管財人は敵というイメージを抱くかもしれません。しかし、管財人は調査に協力すれば再スタートをサポートしてくれます。

まとめ

管財人とは破産手続において破産財団に属する財産の管理及び処分する権利を有する者です。

財産管理や調査の他に、破産者に代わって破産者が保有している財産を換価し、債権者に分配するという役割を担っています。

個人の破産の場合、管財人が選任される場合と選任されない場合があります。

管財人が選任された場合には管財人からの要請には協力する必要があります。

協力しないと借金がゼロにならないことがありますので注意しましょう。

(監修者:弁護士 川田啓介