最終更新日:2023年11月1日

  1. 個人再生をすると負債総額が大幅に減ります。そして、減った負債総額について3年から5年の分割払で返済することとなります
  2. 個人再生をしても財産はなくなりません
  3. 自宅を所有している場合には自宅に住み続けることが可能です。

個人再生すると負債・借金はどうなる?

支払総額

個人再生をすると支払総額が大幅に減ります。具体的には、負債額に応じて次の金額に借金が減額します。

元々の借金額 支払額
100万円以上
~500万円以下
100万円
500万円超
~1,500万円以下
借金総額の
5分の1
1,500万円超
~3,000万円以下
300万円
3,000万円超
~5,000万円未満
借金総額の
10分の1

ただし、「上記支払額」より「お持ちの財産の総額」が多い場合、「お持ちの財産の総額」を支払う必要があります。また、住宅ローンがある場合、住宅ローンは別途支払う必要があります。

個人再生すると財産はどうなる?

個人再生した場合、基本的には持っている財産を手放す必要はありません。ただし、一部の金融機関の預貯金の引出ができなくなったり、ローンで購入した車の引き上げを求められたりすることがあります。

個人再生するとデメリットは何がある?

  • クレジットカードが使えなくなります。また、5年から10年間は新しいクレジットカードの作成が難しいです。
  • 官報に氏名・住所が掲載されます。官報を見ている人は通常は少ないですが、インターネットに氏名・住所などが掲載される危険があります。
  • 連帯保証人がいる借入の場合、連帯保証人に一括払いの請求がいきます。
  • 個人再生が失敗した場合、自己破産をする必要があることが多いです。

個人再生のよくある勘違い

Q. 個人再生と民事再生は同じ意味ですか?

A. 厳密に言うと意味は違います。たくさんある民事再生の手続きの中の1つの方法が個人再生です。

Q. 住宅ローンも減りますか?

A. 住宅ローンは減りません。原則として今までと同じ条件で返済を継続することとなります。

Q. 自宅に住宅ローン以外の抵当権(担保)が付いていても個人再生できますか?

A. 難しいでしょう。ただし、住宅ローンの担保は付いていても大丈夫です。

Q. 自宅を差押されていても個人再生できますか?

A. 難しいでしょう。

Q. 住宅ローンがなくても個人再生はできますか?

A. できます。ギャンブル・浪費などが多く自己破産が難しい場合には個人再生がお勧めです。

Q. 負債額がいくらでも個人再生はできますか?

A. 負債額が5000万円以下の場合に個人再生は可能です。ただし、住宅ローンがある場合、住宅ローンは除いて計算して大丈夫です。

Q. 負債500万円、資産400万円です。個人再生をすれば借金が5分の1になるので100万円だけ借金を支払えば大丈夫ですか?

A. 個人再生の場合、お持ちの資産額は最低でも支払をする必要があります。そのため、資産400万円の場合、総額400万円を支払う必要があります。

Q. 個人再生をすると税金滞納も減りますか?

A.

  • 滞納している税金は個人再生をしても減りません。
  • 税金を滞納していて個人再生をしたい場合、役所と協議をして分割払いの合意をしましょう。分割払いの合意ができていれば個人再生が認められる可能性が高まります。

Q. 必ず個人再生は成功しますか?

A. 必ず成功するとは限りません。次のような場合などでは失敗します。

  1. 債権者の半分以上が反対してきた場合
  2. 継続的・反復的に収入を得る見込みがない場合
  3. 裁判所に申立するために必要な書類を準備しない場合

Q. 職場にばれますか?

A. 原則としてばれることはありません。

Q. 個人再生をすると家族に影響は出ますか?

A.

  • 影響は出ません。
  • ただし、家族が連帯保証人になっている場合、家族に一括払での請求がいくこととなります。

Q. 弁護士なしで自分でも個人再生申立はできますか?

A. 不可能ではありません。ただし、弁護士が代理していない個人再生申立の場合、裁判所の審査が厳しくなったり、裁判所の手数料が高くなったりする傾向にあります。そのため、個人再生申立は弁護士に依頼した方がよいでしょう。

まとめ

  1. 個人再生をすると負債総額が大幅に減ります。そして、減った負債総額について3年から5年の分割払で返済することとなります。
  2. 個人再生をしても財産はなくなりません。
  3. 自宅を所有している場合には自宅に住み続けることが可能です。ただし、住宅ローンは原則として今までと同じ条件で支払を継続することが必要です。

(監修者:弁護士 大澤一郎