最終更新日:2023年5月26日
法人破産のメリットは、①銀行や業者の取り立てが止まること、②負債が消滅し資金繰りの悩みから解放されること、③代表者の再出発・再起が可能になること等です。
法人破産のデメリットは①社長個人も破産となることが多いこと、②取引先や信用を失う可能性があること、③会社資産・従業員・技術がなくなる可能性があること等です。
目次
メリット①銀行や業者の取り立てが止まります
- 会社(法人)の破産をする場合、金融機関や取引先などの債権者に対し破産する旨の通知を弁護士が発送します。
- 破産する旨の通知(受任通知)を弁護士が発送した場合、会社宛ではなく弁護士宛に金融機関等は連絡をする運用となっています。そのため、法人破産をする場合、銀行や業者の取り立てが止まります。
メリット②負債が消滅し資金繰りの悩みから解放されます
会社が破産する場合、最終的には会社の負債は全て消滅します。社長は長年の資金繰りの悩みから解放されます。
メリット③代表者の再出発・再起が可能になります
- 会社の負債が全て消滅し、一度会社としての業務は終了となります。
- 社長は別の会社で社員として働くことが可能です。また、時期や方法に注意すべきですが、新しい法人を設立したり、新たに自営業として業務をしたりすることも可能です。
その他の法人破産のメリット
管財人が法律の規定に従って会社財産の清算や債権者への配当を行います。関係者の納得度が高いです。
債権者集会にて管財人が破産の経緯等の報告を行います。社長や担当者が個別に金融機関や取引先に詳細を説明をする必要はありません。
デメリット①社長個人も破産となることが多いです
会社が破産する場合、会社の債務の連帯保証があったり、社長個人の債務があったりします。そのため、社長個人も破産となることが多いです。ただし、①社長に負債がない場合、②社長が個人再生ができる場合などは社長個人が破産をする必要はありません。
社長個人が破産の場合、社長の財産も原則なくなります。ただし、合計99万円以内など一定の財産は維持できる可能性はあります。
デメリット②取引先や信用を失う可能性があります
- 会社や社長が今まで築いてきた取引先や信用が破産によって失われる可能性があります。
- ただし、破産しても今までの取引先や信用が維持できることも多いです。具体的には、相手に不義理になっていない場合には今までの取引先や信用を何らかの形で維持できることが経験上多いです。
デメリット③会社資産・従業員・技術がなくなる可能性があります。
- 会社資産は全て換価され預貯金となり、債権者に配当されます。
- 従業員は原則として解雇となります。
- 会社が有していた技術やノウハウが失われてしまう可能性もあります。
- ただし、事業の一部を譲渡すること等により、会社・社長は破産となるものの、会社資産・従業員・技術などを守ることができることもあります。
その他の法人破産のデメリット
社長が破産した場合、いわゆるブラックリストに掲載されます。5年から10年程度は新規借入が難しいです。
社長が破産した場合、5年から10年程度はクレジットカードが利用できなくなります。
会社や社長が破産をすると官報に住所・氏名等が掲載されます。
まとめ
会社(法人)の破産では、次のようなメリット・デメリット等があります。
メリット
- 銀行や業者の取り立てが止まります
- 負債が消滅し資金繰りの悩みから解放されます
- 代表者の再出発・再起が可能になります
デメリット
- 社長個人も破産となることが多いです
- 取引先や信用を失う可能性があります
- 会社資産・従業員・技術がなくなる可能性があります。
(監修者:弁護士 大澤一郎)