我孫子市南新木在住の井登莉帆様(仮名)の解決事例

相談者 30代 女性(専業主婦)
相談内容
取引
金融会社
8社
担当
弁護士

同居するお母様を亡くされた後、お母様を被相続人とする相続放棄の手続をなさいましたが、ご自身の債務についても整理しようと決意され、自己破産手続を弁護士に依頼しました。
順調に申立てに至りましたが、裁判所からおかしな指摘が来ました。おかしな指摘であることを記載した報告書を提出し、無事破産手続開始決定(同時廃止)及び免責許可決定に至りました。

弁護士よりコメント

自己破産の申立書を裁判所に提出する際、債務を負うに至った事情、申立て時点の財産状況、現在までの職歴、婚姻・離婚歴、債務総額・債権者名及び債権者ごとの債務額等様々なことを記載しなければなりません。

また、過去2年間の預金口座の入出金履歴を提出し、疑問をもたれそうな入出金についてはその詳細の説明をする必要があります。

こうして申立書を提出した後、裁判所が、申立書を検討した結果この点について説明・報告を求めるという趣旨の照会をしてくることがあります。

とりわけ同時廃止相当であると思われる案件についてこうした照会をしてくることが多いです。

どのようなことについて説明・報告を求められるかについては、裁判所の担当者によってばらつきがあり、ときにはなぜこのようなことを尋ねてくるのだろうとの感想を抱く機会も珍しくありません。ですが、そのようなときでも、円滑な進行のため、対応しています。

この件でもやはり裁判所が照会をしてきたのですが、そのうち「相続放棄の手続をした後、母親の年金を受給した形跡がある。このことについて説明せよ。」というのがありました。

相続放棄をした人は、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産もすべて受け継ぎません。母親の年金がこのプラスの財産に当たるのであれば(言い換えると遺産に当たるのであれば)、この方はこの年金を受け取る権限がなく、受け取ってはいけません。

そのため、受け取ってはいけない財産を受け取ったことになるのではないかと考えて、裁判所は、このような照会をしてきたのだと考えられます。

ですが、これは、未支給の年金に関する制度の基本的な理解があれば明らかなことでした。

年金受給権を有する人が亡くなられたとき、未支給の年金があるときは、一定の範囲の遺族が受け取れることになっています。

法律上は「自己の名で年金の支給を請求することができる。」という規定振りになっており、最高裁判例は、これは、相続とは別の立場から一定の遺族に対して未支給の年金の支給を認めたものであるという趣旨の判断をしました(最判平成7年11月7日民集49巻9号2829頁)。

裁判所は決して公的年金等の社会保険制度の専門家ではありませんから、こうした誤解をするのも無理はありません。

また、弁護士も専門家ではありませんから、このような照会を受けてまごつくことがあるかもしれません。

この件の担当弁護士にはたまたま未支給の年金に関する基本的知識がありましたので対応は容易に行うことができましたが、裁判所が的外れな照会してくることもあること、それでも円滑な進行のため対応する必要があることをご紹介する一事例としてお書きしました。


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