最終更新日:2023年5月26日
自己破産には次のようなデメリットがあります。
- 一定の例外を除き財産を失います
- 新しい借入が5年から10年はできません
- 官報に名前が掲載されます
- 連帯保証人に請求がいきます
- 家族に発覚する可能性があります
- 職場に発覚する可能性があります
- 全ての債権者を平等に扱う必要があります
- 取締役等を退任する必要があります。
- 破産手続中は公的な資格を使った仕事ができないことがあります
- 破産手続中は郵便物を第三者が確認することがあります
- 利用中の預金口座を変更しなければならないことがあります
- 賃貸契約の審査が通りにくいことがあります
- 破産をしても借金がゼロにならないことがあります
目次
一定の例外を除き財産を失います
自己破産した場合、原則として財産を失います。特に自宅を所有している場合自宅を失います。ただし、全ての財産を失うわけではなく、総額99万円までの財産は持っていてもよいという許可が裁判所から出ることが多いです。
新しい借入が5年から10年はできません
自己破産をした場合、約5年から10年は新しい借入をすることができません。信用情報期間(いわゆる「ブラックリスト」)に登録されるためです。
官報に名前が掲載されます
自己破産した場合、国が発行する雑誌である官報へ掲載がされます。具体的には、破産の事実・住所・氏名等が記載されます。
連帯保証人に請求がいきます
自己破産した場合ご本人の借金はゼロになります。しかし、連帯保証人の債務・借金はなくなりません。そのため、連帯保証人も自己破産・任意整理・個人再生など何らかの債務整理を行う必要があります。
家族に発覚する可能性があります
- 自己破産を行う場合、自動的に家族に発覚することはありません。もっとも、自宅宛に裁判所や業者からの書類が届いたりすることがあります。そのため、結果として同居の家族に破産の事実が発覚する可能性があります。
- また、破産の事実は官報に掲載されます。そのため、確率は低いですが、家族が何らかのきっかけで官報を見ることにより、家族に破産の事実が発覚する可能性があります。
職場に発覚する可能性があります
- 自己破産を行う場合、自動的に職場に発覚することはありません。もっとも、給与の差押をされてしまった場合、裁判所から職場に差押の通知が届きます。このような場合、職場に破産の事実が発覚する可能性があります。
- また、破産の事実は官報に掲載されます。そのため、確率は低いですが、職場の人が何らかのきっかけで官報を見ることにより、職場に破産の事実が発覚する可能性があります。
全ての債権者を平等に扱う必要があります
- 自己破産の場合、「一斉に支払わないので平等」ということが必要です。金融機関に返済しない一方、家族にだけ返済をするというのは認められません。
- 具体的には、弁護士に依頼後の場合には一律に支払をしないという対応が必要です。他方、弁護士に依頼前の場合でも直前に家族に多額の返済をするというようなことは認められないでしょう。
取締役等を退任する必要があります
破産手続開始決定が出た場合、取締役や監査役は一度退任をする必要があります。ただし、再度の株主総会決議等を行い取締役や監査役を選任することは可能ですが、多少手続きが複雑となります。
破産手続中は公的な資格を使った仕事ができないことがあります
破産手続開始決定から免責許可決定確定までの間、公的な資格を使った仕事等ができないことがあります。具体的には、宅地建物取引士、警備員などを行うことができません。
破産手続中は郵便物を第三者が確認することがあります
- 管財人が選任された場合、破産手続中は郵便物を管財人が確認することとなります。
- なお、管財人が選任されない手続を「同時廃止」、管財人が選任される手続を「少額管財」と言います。
利用中の預金口座を変更しなければならないことがあります
- 自己破産しても預金口座を利用し続けることは可能です。もっとも、口座がある銀行から借入をしている場合、口座にある預金が凍結されてしまいます。そのため、借入がある銀行の預金口座は事実上利用できなくなります。
- また、クレジットカード自動引き落としがある口座の場合、口座にお金を入れると引落がされてしまう可能性があります。そのため、自動引き落としがある銀行の預金口座は事実上利用できなくなります。
- 口座が事実上利用できなくなる場合、利用する預金口座を変更する必要があります。
賃貸契約の審査が通りにくいことがあります
自己破産をしても賃借物件を借り続けることは可能です。もっとも、新しく家を借りようをする場合には保証会社の審査があることが多いです。そして、信用情報機関の情報を利用している保証会社が審査する場合、賃貸契約の審査が通りにくいことがあります。
破産をしても借金がゼロにならないことがあります
破産をすればほとんどの場合借金はゼロになります。しかし、ギャンブル・浪費等が過度な場合などは免責不許可となり借金がゼロにならないことがあります。
デメリットを過度に気にしないことが重要です
- 自己破産にデメリットがあることは事実です。しかし、自己破産には借金をゼロにできるという大きなメリットがあります。
- また、債務整理の方法には自己破産以外にも任意整理や個人再生という方法があります。メリット・デメリットをよく考えて方針を決めましょう。
まとめ
自己破産には次のようなデメリットがあります。
- 一定の例外を除き財産を失います
- 新しい借入が5年から10年はできません
- 官報に名前が掲載されます
- 連帯保証人に請求がいきます
- 家族に発覚する可能性があります
- 職場に発覚する可能性があります
- 全ての債権者を平等に扱う必要があります
- 取締役等を退任する必要があります
- 破産手続中は公的な資格を使った仕事ができないことがあります
- 破産手続中は郵便物を第三者が確認することがあります
- 利用中の預金口座を変更しなければならないことがあります
- 賃貸契約の審査が通りにくいことがあります
- 破産をしても借金がゼロにならないことがあります
(監修者:弁護士 大澤一郎)