最終更新日:2023年5月26日
一律の基準はなく、破産申立後に選任された管財人の指示に従うこととなります。管財人が自宅の売却を試みることが多く、一般的には破産申立後2~3カ月後に引っ越しをすることが多いです。
目次
会社・社長の破産手続の流れ
会社・社長の破産手続は次のような流れで進みます。
- 弁護士への相談
- 弁護士から債権者への通知の発送
- 破産申立書類の準備
- 裁判所に破産申立
- 破産管財人の選任
- 破産管財人による財産換価・調査
- 債権者集会
- 債権者への配当
- 破産手続の終了による会社消滅
自宅が処分となる2つのパターン
社長個人の自宅が処分となるパターンは2つあります。①任意売却と②競売です。
①任意売却
- 任意売却とは、不動産を通常の方法で売買する方法です。
- 会社・社長の破産の場合、通常は破産管財人が主導して任意売却の手続きを進めます。
②競売
- 競売とは、金融機関(抵当権者)などが裁判所の手続きで不動産処分を求める方法です。
- 会社・社長の破産の場合、まずは破産管財人が任意売却を試みることが多いです。もっとも、必ずしも売買契約成立に至るとは限りません。ある程度の期間任意売却をしても話が進まない場合、競売により不動産処分がなされることもあります。
管財人が任意売却する場合
- 管財人が任意売却をする場合の流れは普通の不動産売買契約と原則同じです。具体的には、①買主候補者を探す、②売買価格の交渉、③売買契約成立、④決済(実際のお金のやりとり)という流れで進みます。
- 弁護士への相談から破産申立までの時間は事案によりますが、法人破産の場合は1カ月前後が経験上多いです。
- 破産申立後、数週間以内に管財人が選任されます。破産申立日に管財人が選任されることもあります。
- 管財人が買主候補者を探したり売買価格の交渉をしたりするためにかかる時間は事案によりますが、1カ月~2カ月位が経験上は多いです。ただし、なかなか買主候補者が見つからない場合もあります。
- 買主と条件が決まったら不動産売買契約書を作成します。不動産売買契約書を作成した後、決済までの時間は事案によりますが、1カ月前後が経験上は多いです。
- 最終的な決済日までには引っ越しをする必要があります。
競売の場合
- 競売の場合の流れは、①抵当権者の申立、②裁判所による物件調査、③入札、④落札という流れになります。事案によりますが、申立から落札(開札)まで6カ月程度のことが多いです。
- 競売申立の時期は事案によりまちまちです。管財人が任意売却を試みたもののうまくいかなかった場合に競売申立があることが経験上は多いです。
- 不動産の明渡時期(引っ越し時期)は物件落札者との協議となります。あまり細かいことを言わない落札者も多いですが、すぐに出ていくことを強く要求する落札者もいます。
- ①競売申立までにある程度の時間がかかること、②競売申立から落札まで6カ月程度の時間がかかること等から、競売の方が引っ越し時期は遅くなることが多いです。
早く引っ越すことは問題ないこと
- 任意売却・競売の手続とは関係なく、早く引っ越すことは可能です。
- 自宅を債権者に知られているため早く引っ越ししたいという方もいます。
- 早く生活の基盤を作りたいので早く引っ越ししたいという方もいます。
管財人の指示に従う必要があること
- 管財人が選任された後は管財人の指示に従う必要があります。
- 通常の管財人は、自宅が売却できる少し前までは社長が居住して構わないという対応をします。ただし、厳しい管財人の場合、管財人選任後すぐに出ていって欲しいという要求をしてくる場合もあります。
- 管財人選任後、「すぐに出ていって欲しい」という要求を管財人からされた場合には依頼した弁護士とも相談をして適切な対応をしましょう。
まとめ
- 会社・社長が破産をした場合、社長が所有する自宅から出ていく時期に一律の基準はありません。
- 破産申立後に選任された管財人の指示に従って引っ越しを行うこととなります。
- 管財人が自宅の売却を試みることが多く、破産申立後2~3カ月後に引っ越しとなることが経験上は多いです。
- 任意売却に至らずに競売となった場合、①競売申立までにある程度の時間がかかること、②競売申立から落札まで6カ月程度の時間がかかること等から、比較的長期間引っ越しをしなくても大丈夫であることが経験上多いです。
(監修者:弁護士 大澤一郎)