最終更新日:2025年9月25日

千葉県千葉市稲毛区在住の武内様(仮名)の解決事例

相談者60代女性(無職)
相談内容
借入先
の数
9社
担当
弁護士
借金の理由生活費

借入総額

400万円→ 0

毎月の返済額

月額14万円→ 0

ご相談までの背景

武内さん(仮名)は、ご両親の介護を理由に仕事を辞めざるを得なくなり、生活は年金とわずかな貯蓄に頼る状況でした。

仕事を辞めたことにより収入が減少した一方で、生活費、介護費用、車の維持費などの支出が重くのしかかり、家計は逼迫していました。

その後、武内さんは再就職をしたものの、自動車の修理費などのイレギュラーな支出が続きました。さらに、体調不良で仕事ができない時期が続きました。

借金を重ねて生活費や返済に充てていましたが、借入限度額に達し、追加の借入はできなくなりました。不動産を担保に融資を受けようと試みたものの、銀行からの融資は断られ、返済の継続は困難となりました。

このような状況で、武内さんはよつば総合法律事務所に自己破産のご相談に来られました。

武内様の状況のまとめ

  1. 債務総額は400万円超、毎月の返済額は約14万円
  2. 安定した収入は年金のみ
  3. 担保の設定されていない不動産を所有
  4. 借金返済のために新たな借入を繰り返す自転車操業状態

解決までの流れ

1. 無担保不動産に着目し、費用の捻出と財産の確保を検討

武内さんには、弁護士費用や裁判所の予納金(破産手続きを進めるために裁判所に支払う費用)を支払う余裕がありませんでした。

しかし、所有している不動産は無担保で、かつ市場価値が約300万円あると見込まれていたため、この不動産を売却して、手続きに必要な資金を捻出することにしました。

また、売却代金の残りは、自由財産(破産しても失わない財産)の拡張によって破産後も手元に残すことができるように進めることにしました。

2. 適正価格での不動産売却を実施

破産申立て前に不動産を売却する場合、売却価格が適正であるかが重要なポイントになります。市場価格を下回る価格での売却は「廉価処分(不当に安い金額での売買)」とみなされ、破産手続き上問題となる可能性があります。

特に本件は無担保不動産であったため、金融機関等の価格調査が入るわけではなく、売却価格の正当性を十分に証明する必要がありました。

複数の不動産業者に査定を依頼したところ、おおむね250万〜300万円と評価されました。

そこで、上限価格の300万円で市場に売り出したところ、3か月以内に300万円での買い手が見つかり、適正価格での売却を実現できました。

3. 売却代金から必要経費を支出し、99万円の財産を手元に残す

武内さんは、売却代金から、弁護士費用、予納金(裁判所の手数料)、生活費などを捻出できました。

裁判所に破産申立てを行った結果、問題なく総額99万円の財産を手元に残すことが認められ、借金も免責されました。

借金総額のまとめ

相談時:400万円→手続き後:0

月々の返済額のまとめ

相談時:月額14万円→手続き後:0

弁護士のコメント

1. 破産をした方が財産を残せる場合があること

武内さんの負債は400万円、所有する不動産の価格は300万円でした。そのため、不動産を売却してその代金を借金返済に充てるという選択肢もありましたが、その場合は約100万円の債務が残り、生活の再建には不安が残る状況でした。

一方で、破産申立てに先立って不動産を適正に売却すると、借金は免責された上で総額99万円の財産を残すことができ、再スタートに必要な資金を確保することが可能でした。弁護士は、破産という手続きを選択する方が合理的であると判断しました。

2. 不動産売却の注意点

破産申立前に不動産を売却する場合には、以下の点に注意が必要です。

売却価格の適正

売却価格が適正でないと、破産手続きで大きな問題になります。

売却価格が適正であることを裁判所に説明するためには、次のような方法があります。

  • 複数業者からの査定を取得すること
  • 可能な限り高く売却をすること
  • 買付証明を複数取得すること

契約不適合責任を免除して現状有姿での売却

仮に売却した不動産に欠陥等があった場合、買主との間でトラブルに発展するケースがあります。たとえ売主が賠償責任を負うことになっても、破産手続きを進めているため買主への支払いが困難になるからです。

そこで、買主との交渉において、売買契約において契約不適合責任を免除してもらい、現状有姿で売却する合意を目指します。

※契約不適合責任:売買した不動産に契約内容と異なる点があった場合に、売主が買主に対して負う責任のこと

※現状有姿(げんじょうゆうし):現在の状態のままで物件を引き渡すこと

売却代金の使途

売却で得たお金は、弁護士費用、予納金、税金や最低限の生活費など、破産手続き上、正当な使い道と認められる範囲でのみ使用が可能です。

これ以外の用途に流用した場合、免責が認められなくなるおそれがあります。

本解決事例についてのご質問と回答

破産しても財産を残すことができますか?

原則として、破産手続きにおいても「自由財産」と呼ばれる一定範囲の財産は保持できます。

具体的には、現金・預貯金・自動車・退職金請求権などが代表例で、総額99万円までであれば手元に残せる可能性があります。ただし、これは個別の事情に応じて裁判所が判断するため、必ず認められるわけではありません。


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(監修者:弁護士 米井舜一郎