千葉県我孫子市 株式会社ワタタカ様(仮名)

職種 ソフトウェアの開発・販売
従業員 4人
負債総額 2億円
債権者数 10社
担当弁護士 大澤一郎

パソコン関係のソフトウェアの開発・販売を行う株式会社です。

IT業界の不況及び今後のソフト開発の見込がたたないことから破産を決意しました。

主な債務は金融機関からの借入でした。会社及び社長(代表取締役)が自己破産を申立しました。

自宅は妻との共有です。住宅ローン(妻名義)があります。

事例のポイント

  • 自宅については、法律上きちんと適正に評価すると破産手続上は0円と評価できる物件だったため、共有部分については何も手を付けることなく解決ができました。
  • 妻の収入が比較的多かったので、妻の収入と社長の今後の収入を合算することにより生計を立てることが可能となりました。
  • 子供も含めた家族の協力が得られる状況でしたので、自宅・今後の生活・その他の細かい問題点についても解決をすることができました。
  • 税金・社会保険の滞納も一部ありましたが、弁護士名での破産する旨の通知を出す時期を工夫することにより、差押えをされることはありませんでした。

本解決事例についての質問と回答・解説

Q. 共有の不動産について共有の一方当事者だけが破産をした場合どうなりますか。

A. 一方当事者だけが破産をした場合、一方当事者の権利分のみ処分する必要があります。
例えば、50%ずつの権利を持っている一方当事者が破産をした場合、50%分の権利のみを処分することとなります。
実際に50%分の権利のみを購入してくれる人は少ないため、他の共有者が買い取る事案も多いです。
(上記は住宅ローンなどの抵当権がない前提での回答となります。)

Q. 多額の抵当権が不動産全体に設定されている場合、共有の不動産について共有の一方当事者だけが破産をした場合どうなりますか。

A.

破産をした人の債務を担保する抵当権がある場合

不動産全体が抵当権者によって処分されます。

破産をした人の債務を担保しない抵当権がある場合

抵当権が設定されている債務金額分を控除して、不動産価格を評価することとなります。その結果、不動産評価価格が破産手続き上は0円ということもありえます。

例えば、次のような事例です。

Aさん:50%の共有持分有 1億円の債務有、1億円の債務を担保する抵当権有

Bさん:50%の共有持分有 破産

不動産価格:3,000万円

本来であれば、不動産価格3,000万円の2分の1である1,500万円分の価値の財産をBさんは持っています。
しかし、多額の抵当権が設定されていて抵当権が優先するため、実際のBさんの共有持分の価値は破産手続き上0円となります。

本解決事例の用語説明

不動産の共有

不動産を共同で所有している状態です。例えば、Aさん30%、Bさん70%などという状況です。

本解決事例に関連する質問と回答・解説

Q. 税金・社会保険の滞納はいきなりされますか。

A. 税金・社会保険は、書面で通知するだけで差押ができます。
一方、金融機関からの借入金や買掛金の場合、原則として裁判をしない限り差押はできません。
そのため、ある日突然税金・社会保険の差押の通知がくることがあります。

Q. 夫が破産をすると妻の財産もとられますか。

A. とられません。
ただし、連帯保証人に妻がなっているような場合、妻の財産もとられてしまうこともあります。

Q. 夫が破産をしても問題がないように仮装離婚してもよいですか。

A. ダメです。仮装であることが発覚した場合、破産手続で免責不許可となって借金がなくならないことがあります。
また、財産隠しなどを伴う悪質な事案の場合、詐欺破産罪となり警察に逮捕される可能性もありえます。


  • プライバシー保護のため、所在地・法人名・従業員数・負債総額・債権者数その他事実関係は、事例の趣旨に影響を及ぼさない範囲で変更してあります。